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市民の立場から環境ホルモン問題を問いなおす!

環境ホルモン
【文明・社会・生命】
Vol.4

 特集 “環境病”
        【医者の見方と患者の見方】



2004年1月刊!

菊大判 234頁 2079円
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 「環境病」とは、主たる原因が生活環境(家庭生活環境および職業生活環境)にある疾患で、いわゆる公害病と違い、汚染物質が多種多様で広範囲にゆきわたっている。環境病への取り組みは医学界全体で大きく遅れているが、先駆的な医者・医学者による取り組み、また患者の見解や行動を紹介、“環境病”の実態を総合的に探る初の試み。



巻頭言

特集のねらい
松崎早苗

環境ホルモンによる子どもの行動異常・脳の機能発達障害
黒田洋一郎

微量化学物質の中枢神経への影響〈インタビュー〉
石川哲

農薬曝露の影響  【臨床例から】
青山美子

環境病患者と医療
松崎早苗編(三舟幸子、村山澄代・安、津谷裕子)

免疫異常の流行をどうとらえるか
藤田紘一郎

低用量放射線・化学物質影響の研究現場から
野村大成

「生活習慣病」の政治学
吉岡やよい・斉


[エッセイ]
綾の森に巨大鉄塔はいらない
小川渉

[報文]
イラクにおける劣化ウラン兵器使用実態
藤田祐幸
カミネ油症の女たち  【35年後のダイオキシン被害調査から】
水野玲子

[論文]
代替フロン問題解決への一視点
【気候変動問題とオゾン層破壊問題の政策的連関の検討】
松本泰子

[シリーズ] Our Stolen Future ウエヴサイト・ピックアップ
誰が、何を調べ、何が分かったか、どんな意味があるのか? 第1回
行動と知能への影響
  1 臭素化難燃剤は新たな脅威か?
  2 自閉症児は生まれて1年目に脳が休息に発達している
  3 臭素化難燃剤(BDE-99、五臭化ジフェニルエーテル)の脳神経系影響
J・P・マイヤーズ

[連載] 環境ホルモンが生態系に及ぼす影響 第3回
 研究の基本的な考え方
堀口敏宏


【藤原書店PR誌『機』2004年1月号より】

何万種類もの化学物質に曝される現代人の健康を改めて考えるために

“環境病”とは何か
松崎早苗
環境ホルモン問題は一層重要に
 私は、日本の知識層の中に環境ホルモン問題を揶揄したり、大したことではないと思い込ませる動きがあることを非常に残念に思う。「仮説」が科学界の権威からではなく一般書として出されたことを快く思っていないことの表れであろう。
 コルボーンがエンドクリン仮説(環境ホルモン仮説とも言える)を提唱した後、われわれはいち早く『環境ホルモンとは何か1・2』(藤原書店)を発表したが、この仮説が人類社会に及ぼす影響の大きさと問題の複雑さを認識して、雑誌『環境ホルモン』としてフォローアップすることを決めた。今回、第4号を出版する。
 日本の知識層の風潮とは異なって、この問題の重要性はますます高まっている。なぜなら、エンドクリン仮説を機に微量化学物質の生体影響研究が非常に進んだばかりでなく、医学の基礎研究も飛躍的に進展して、本来の生体機能についても新しい見方が出てきたからである。身体の生命活動の秘密を正しく知る必要から、これまでの専門領域が融合して研究が深まり、コルボーンすら予言していなかった広がりを見せている。すなわち、内分泌系は脳・神経系や免疫系と体内で化学信号を交換し合っている(クロストーク)ことが分かってきたので、外因性化学物質の一次影響だけをつかまえて、これは環境ホルモンであるとかないとか決めつけることができなくなった。

“環境病”とする理由
 かつての「公害病」は、一つの環境汚染物質に一つの病気が対応するとの前提であったが、現代の環境汚染からの健康影響は特徴が異なる。外因性化学物質の作用はますます複雑なことが明らかになってきたが、それを受け入れるわれわれの身体の側はたった一つで、トータルとしてそれらと戦っているのであり、ある場合には先天性障害に、ある場合にはがんに、又花粉症に、化学物質過敏症に、リウマチや糖尿病といった慢性病に、陥る。それらは「環境病」と総称すべきで、そう呼んでこそ公衆衛生問題としての位置づけが可能となる。
 その理由の第一は、汚染物質があまりにも種類が多く、広くゆきわたってしまっており、しかもその影響がたいてい未解明であるため、どこから何をとりこんだために病気になったかということすら判然としない場合が多いことである。第二の理由は、身近なゴミの大半がプラスチックであり、その廃棄処理過程における物質の反応や形態が分かっていないことである。プラスチック生産量から推察すれば、21世紀最大の環境圧力になるだろう。第三の理由は、すでに30年、40年という年月の間にさまざまな化学物質を浴びて身体の側に変化が生じている可能性があり、そこに化学物質が作用すると過敏な反応が起こったり、耐える力がなくなると考えられる。第四の理由は、誕生以前の摂取によって発達過程に生じた身体のわずかな機能変化が重要な役割を演ずると考えられてきたことである。一と二は社会の化学物質利用と管理に関する問題であり、三と四はわれわれが新たに直面している生物学的・医学的出来事である。

公衆衛生政策への提言の意を込めて
 このような視点から公衆衛生政策への提言の意味を込めて、第四号で「環境病」を特集し、基礎と臨床の医学者の良心と、被害に苦しんでいる人々の声を記録した。
 医学専門分野からの寄稿者は、脳科学の黒田洋一郎、有機リン農薬影響の石川哲(インタビュー)、放射線と化学物質の発ガン性研究の野村大成、農薬被害患者を診ている臨床の青山美子、回虫の免疫機能の藤田紘一郎という方々である。いずれも生涯をかけて取り組んできた専門の立場から「環境病」へのアプローチに重要な示唆を与えている。化学物質の被害者としては、和歌山県の三舟幸子、横浜市の村山澄代・安夫妻、杉並区の津谷裕子・和男夫妻が寄稿している。これに、最近の生活習慣病キャンペーンを批判する吉岡やよい・斉の論文が加わる。
 特集の他には、イラクで使われた劣化ウラン弾の報告を藤田裕幸が、カネミ油症事件から30年後の市民調査報告を水野玲子が、代替フロン国際条約の政治分析を松本泰子が行う。(敬称略)
(まつざき・さなえ/環境化学)


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