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日露戦争は世界戦争だった!

日露戦争の世界史


崔 文衡(チェ・ムンヒョン)
朴 菖熙訳

Now Printing

 語られてこなかった欧米列強の東アジア政策
韓国歴史学会の第一人者が、100年前の国際関係から、西欧列強による地球規模の〈東アジア利権争奪〉
の経緯を鮮やかに活写し、アメリカ世界戦略の出発点を明らかにした野心作。
日露開戦100年記念! 日本・韓国同時出版!

四六上製 440頁 3780円
2004年5月刊)
◇4-89434-391-6


【書評・紹介】

  • 9/5 毎日新聞「今週の本棚」欄
  • 8/16 朝日新聞(夕)「単眼/複眼」欄
  • 8/5 読売新聞 夕刊 「世界的視野で」日露戦争描く
  • 7/30 週刊読書人 「43人へのアンケート 2004年上半期の収穫から」欄
  • 7/18 毎日新聞 「本と出会う―批評と紹介」欄
  • 7/16 週刊読者人
  • 6/23 BOOKS asahi.com「ニュースの本棚」欄
  • 6/20 奈良新聞「書評」欄

  • 《目次》

    第一章 列強の東アジア分割競争
     総説
     1 列強の中国大陸
     2 アメリカのマニラ湾侵攻と列強の反応
     3 韓半島をめぐる日本とロシアの対立

    第二章 ロシアの満州占領と列強の対応
     総説
     1 《露清単独秘密協定》と日本の対応
     2 ロシアの満州支配に対する列強の反応
     3 《日英同盟》の成立とその意味

    第三章 アメリカ・イギリスの対日支援と日露開戦への道
     総説
     1 ロシアの徴兵条約不履行と《ニューコース》の確立
     2 列強の対ロシア抗議とイギリス・アメリカの対日支援の限界
     3 日本の対ロシア協商原則確定と開戦外交
     4 アメリカの反ロシア親日政策と対韓政策
     5 アメリカの対日積極支援と日本の対ロシア開戦

    第四章 日露戦争と国際関係
     総説
     1 日露開戦とアメリカの対日政策
     2 日露戦争の戦況変化とバルチック艦隊
     3 戦況の推移と国際情勢の変化
     4 戦況の推移と講和条約
     5 戦況の推移と日本の韓国植民地化推進
     6 《ポーツマス講和条約》と日本の韓国保護

    第五章 戦後の状況と日本の《韓国併合》
     総説
     1 満州門戸閉鎖に対するアメリカ・イギリスの抗議と日本の対応
     2 《第一次日露協約》と日本の《韓国併合》の企て
     3 アメリカの東アジア政策と日本の《韓国併合》の黙認
     4 ノックスの満州諸鉄道中止化計画と第二次日露協約
     5 日本の《韓国併合》

    《関連書》
    「アジア」はどう語られてきたか


    【藤原書店PR誌『機』2004年5月号より】

    日露戦争を韓国歴史学会の第一人者が世界史的に位置づける初の試み!

    日露戦争の世界史

    崔 文衡

    日露戦争と韓国
     今日、日露戦争から100年を経ているが、未だに、この戦争は日本とロシア両国間の戦争であるとの見方が常識として通っている。それはきわめて一面的な見方であって、正しい歴史認識に基づいた理解とは言いがたいように思われる。
     当時、韓国は日露戦争開戦と同時に戦場となり、終戦と同時に日本の支配に帰された。日露戦争とは、日清戦争を通して植民地化の危機に追いつめられていた韓国を、ついに日本の支配下に帰せしめた戦争であった。これは厳然とした歴史事実だが、日本の学界では一般にこの部分が、なぜか研究領域からはずされているように見受けられる。
     さらに、日露戦争は独り韓国のみならず、満州もまた日本とロシアの争奪対象とされていた。韓半島と満州は日本の大陸政策とロシアの南下政策が交錯する地域であった。実際に満州は戦場になったばかりでなく、韓国の運命が決定された講和会議においても満州問題は重大な案件だった。

    欧米列強の利害が絡む
     この戦争には、終始欧米列強が介在していた。日本がイギリス・アメリカの支援を得ていた反面、ロシアはフランス・ドイツの支援を背景にしていた。アメリカ・イギリスは日本を支援することにより、東アジアでの日本・ロシア間の勢力均衡をはかり、満州の門戸開放の確保を狙っていた。ドイツはロシアの満州進出を支援することによって、フランスの孤立を図っていた。フランスはドイツと違い、ロシアがアジアで戦争に巻きこまれればヨーロッパにおいて自国の同盟国としての機能を失いかねない、その事態を防ぎたいと思っていた。
     このように日露戦争は、直接的に欧米列強諸国の利害と直接つながっていた。列強諸国により世界のほとんどがすでに分割され、わずかに残った地域をわがものにするため、覇権を争う後進帝国主義間の戦争に欧米列強は直接参戦こそしなかったが、さらなる獲物を得んものと各自、積極的に介入したのである。戦況の変わり目ごとに列強は、各自、露骨にその利害得失をはじいていた。そのため日露戦争は、欧米列強の規制の中で戦われ、また、戦況の推移は列強の相互関係に直接作用し合っていた。

    一つの世界大戦
     このような国際関係は戦後もひきつづき展開される。一例として、1907年、《昨日の敵》であったロシアとともに、日本は協商陣営に加わり、大戦の相手陣営、三国同盟と対立した。これが第一次大戦へとつながる。
     あらためて指摘したいことは、日露戦争は単なる日本とロシア両国間だけの戦争などではなくそれは韓国・満州をつつみこんだアジアの戦争であり、欧米列強が介在し、帝国主義国間の利害が直接、かつ複雑に絡み合った、一つの世界大戦であったと見なされる。
     こうして、日露戦争の研究は韓国・満州を中心にすえ、国際状況の推移の中で、多面的な視覚で、総合的に進められることが望ましい。それは日露戦争の全体像をつかむために必要であり、とりわけ日露戦争後の、日本の《韓国併合》に対する正しい歴史認識のためには是非とも必要な作業であろう。筆者が本書を著したいと思い立ったのはこのためである。
     ここで、筆者はロシア・アメリカの日本牽制と日本の対応の全過程の分析をとおして、日本の韓国併合に至るまでの国際関係の全貌を把えることを目指した。かような努力が、これからの若い学究の、より進んだ研究の礎石となれることを期待するのは、筆者の秘かな告白でもある。
     ともあれ、日露戦争に対する正しい歴史認識の確立に寄与したい宿願に執着した末の本書が、時あたかも日露開戦100周年を期して、韓国と日本において同時出版できる運びになったことに、筆者はある感慨を覚えるものである。

    (チェ・ムンヒョン/漢陽大学校名誉教授)