西川千麗は日舞の名手としての豊かな才能に恵まれているばかりでなく、演出家としても華麗な才能を併せ持っている幸せな人である。早くから因襲の壁の厚い日舞の世界の中で、一匹狼的な存在として一人わが道を行くという姿勢をとりつづけてきた。
千麗の舞台は日舞という伝統芸術の中に、独自の哲学と美学を盛り込んだ新しい視野で題材を選び、自ら舞台の演出も手がけ、めざましい新局面を切り開いてきた。
観客のなかに、若い人たちが多くなっているのが何より頼もしい。
彼女の作品は、そのままパリやニューヨークの舞台に移しても何の違和感もなく、すんなり外国の人々の胸を打つだろうと期待される。
(構成・編集部/写真・広瀬飛一)
(せとうち・じゃくちょう/作家)