2018年09月21日

政治家の胸中 肉声でたどる政治史の現場

9/21 産経新聞「産経抄」欄

 昭和47年の自民党総裁選は、佐藤栄作首相の後継の座をめぐって、田中角栄氏と福田赳夫氏の間で争われた。いわゆる「角福戦争」が始まり、多額の現金が飛び交ったとされる ▶中間派の若手政治家が地元の選挙区から羽田に飛行機で帰ると、待っていた田中氏から、いきなり300万円を渡された。すでに福田氏に票を入れると約束していたので、「受け取れない」と断った ▶田中氏は気にも留めなかった。「いいんだいいんだ。次の機会にオレに入れてくれればいい。福田に入れてもいいから」。読売新聞の政治記者を長く務めた老川祥一さんの『政治家の胸中』(藤原書店)にあるエピソードである
(中略)
 老川さんは、福田氏のいさぎよさを示すもう一つの名言を紹介している。「総理でなくても仕事はできる」。