2026年05月27日

月刊PR誌『機』2026年5月号 巻頭「『水俣病公式確認』70年」

 

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社主の出版随想

▼5月も半ばを過ぎた。早や夏の到来か、と思わせるような日がある。朝と昼の寒暖差が十度以上もあり、昨日と今日の差が十度以上違うという日もある。かなり地球に異変が起きてることは感じる。しかも、地震がこの所多発しているように思う。何か大きな事件でも起こらなければいいのだがと思う昨今だ。
▼ありのままを書く、表現することがいかに難しいか。ありのまま、自然体で生きることがいかに難しいか。ついつい、偏見や先入見でモノを見たり書いたり表現してしまう。先月、大宅壮一(1900-70)という一世を風靡したジャーナリスト、マスコミの寵児の「昭和史の証言」を出版した。この大宅は、自ら「無思想の思想」と語るように、読んでいても、先入観に捕われた文章がない。わからなければ、自分で相手に会って確かめる。まさに自然体である。出口王仁三郎(1871-1948)という昭和の怪物、怪人に会った時も然りだ。今は、焼失してないが、筆者も孫の出口和明氏の『出口王仁三郎』の評伝を出版していた頃、王仁三郎が最晩年過した熊野館をよく訪れた。今にも王仁三郎が出て来そうな館である。大宅も半世紀以上前に訪れ、王仁三郎に初めて会いあの文章を書いていたのか、と。王仁三郎は、最晩年焼き物に凝り毎日「耀碗」を作っていた。今では国宝の「耀碗」を信者に気軽にプレゼントしていたらしい。笑える話だが、王仁三郎にとって大事なことは、自分の作品を気に入ってもらえること。筆者もある高名な方のご夫人から、王仁三郎から戴いたものだが、本物かどうか見て欲しいとの希望。まさしく本物の耀碗だったという思い出がある。
▼残念ながら大宅壮一には面会は叶わなかったが、この本を読むかぎり、よほどの眼力のある人と思えてくる。生まれは、高槻の地。拙の吹田とかなり近い。森繁久彌(1913-2009)は、枚方。大阪生まれは、表も裏もない、本音も建前もない世界。王仁三郎は、亀岡。今は、京都から電車が通っているが、以前は、亀岡、高槻は歩いて日帰りしていたと。大宅さんに思いを馳せながら、王仁三郎や森繁さんにも思いを寄せる時間を過ごさせてもらったことに感謝である。(亮)

5月号目次

■「水俣病公式確認」70年を迎えて
高峰 武 「終わらない水俣、終われない水俣」

■遂に現代語訳完全版が刊行
野口宗親 「元田永孚自伝『還暦之記・古稀之記』」

■『子宝と子返し』増補新版刊行
太田素子 「近世社会と「出生制限」の視点」

■『伊都子の食卓』増補新版刊行
三砂ちづる 「一ページの宇宙」
岡部伊都子 「お揚げさん」

■没120年。多彩な功績にさらに注目
高頭麻子 「ジャポニスムの美術商 林忠正の胸像、150年ぶりの帰郷」

〈連載〉山口昌子 パリの街角から41「極右大統領候補のお相手が王侯貴族は吉か凶か」
    田中道子 メキシコからの通信38「クラウディア・ファッション」
    宮脇淳子 歴史から中国を観る77「ダヤン・ハーンのモンゴル再統一」
    鎌田 慧 今、日本は85「世界を徘徊するロボット」
    村上陽一郎 科学史上の人びと38「クーン(承前)」
    中西 進 花満径122「昼の花火」

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