『テレーズ・ラカン』……いとこのカミーユと結婚させられたテレーズは、パリの陰気なパサージュで小間物屋を営んでいる。カミーユは病弱で、テレーズの欲望をみたしてはくれず、彼女は、たくましく、情熱的な男ローランとの快楽に溺れていく。やがてふたりは、じゃま者のカミーユを溺死させて、結婚を果たすものの、カミーユの亡霊に悩まされる。ついには、この亡霊をふりきるために、心中するしかなかったのである。「体質(タンペラマン)」という理論を適用した、ゾラ最初の傑作である。
その他、近代都市パリの繁栄と矛盾とをみすえた珠玉の短篇を本邦初訳で収録する。「引き立て役」など《パリ・スケッチ》全編、「ネコたちの天国」「貧者のシスター」等々を予定。