2026年08月26日

月刊PR誌『機』2026年8月号 巻頭「昭和20年8月の御聖断と終戦詔書」

 

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社主の出版随想

▼この頃頻繁に山火事のニュースが聞える。近年でもアメリカ西海岸、フランス南部、日本でも東北の地で。水害も酷い。台風の余波とはいえ、8月1ヶ月の降水量の3倍以上が、1日に降った、先日の千葉の大水害。そして10年越しにまた熊本が大地震に見舞われた。10年前までは、2、3ヶ月に一度は訪れたところ。先月も訪れた2週間後に襲われた。熊本城の石垣も又崩れる程の被害だった。日本中どこに居ても気が休まる所はない。これも、現代人がエネルギーを大量に消費していることと何か関係があるかもしれない。
▼8月の訪れと共に、戦後すぐに生れたわれわれの世代は、敗戦、原爆、ヒロシマ・ナガサキ、お盆、故郷を想う。父母のみならず、祖父母、先祖のことも。
 近頃、蟬の声をあまり聞かなくなった。夏の暑い盛りのクマゼミ、アブラゼミ、終りに近づいた頃のミンミンゼミなど蟬の声で今の時節を知ることができたものだ。それに8月になっても湿度が高い。40度近い暑さが続く。もう完全に地球上の生態系が崩れてしまっているのだろう。勿論何十年も前から、地球の異常を体感している人も居るのだろうが、今日では、この異常に気づかない人は居ないだろう。
▼長い時間の中で起る変化をわずか数十年で自覚する程、大自然の変化の時間は短くはない。しかし、この人間が生きるわずか100年に満たない時間の中でも感じることの異常さを思う。余程、人類が、大自然に対し、短期間に壮烈な破壊をし続けない限りこのようなことが起こるはずがない。それ程人類は自然を壊し続けてきた。自然の一部である人類も相当破壊されていることになる。
▼思い起せば、20世紀の科学技術の発展は凄まじいものであった。まさに科学が最優先、戦争の時代。力の時代、金の時代と言ってもいいだろう。科学でこの世の幸せを獲得できるとすべての人に思い込ませる大プロパガンダ。核をはじめとする科学兵器はいわずもがな、情報を真偽を問わず、地球の果てにまで逸早く知らせることが出来る時代になった。そういうスピードの競争に明け暮れた20世紀。大勢は大きな力でそのスピードを加速させることに無意識に協力しているのが実状だ。地球は、悲鳴をあげている。もうこれ以上、加速しないでゆっくり時間を楽しもうよ、という人も少なからず出てきているとは思うが。8月15日、終戦記念に徒然なるままに思うことを綴ってみた。(亮)

8月号目次

■ポツダム宣言を受諾せざるを得なかった真意
所 功 「昭和20年8月の御聖断と終戦詔書」

■墨書(エクリチュール)から読み解く、別様の“日本”
松岡正剛 「書の日本文化史」

■石牟礼道子の代表作1150頁、待望の2分冊に
「『苦海浄土 全三部』を読む」

■『ゾラ・セレクション』ソフトカバーの新版刊行
朝比奈弘治 「近代社会を成立させる「腹」」

■『日本人の知らないフランス』より
山口昌子 「パリで出会った忘れがたき人々」

〈連載〉山口昌子 パリの街角から44「酷暑は人災か天災か」
    田中道子 メキシコからの通信41「『歴史的和解』への道」
    宮脇淳子 歴史から中国を観る80「第68回常設国際アルタイ学会(PIAC)報告」
    鎌田 慧 今、日本は88「NHKの堕落」
    村上陽一郎 科学史上の人びと41「シャトレ夫人」
    中西 進 花満径125「鷗外の殉死問題」

〈イベント報告〉7.18「後藤新平の会」

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