2026年07月31日

月刊PR誌『機』2026年7月号 巻頭「『命そのものを見届けたい』――病床の妻と向き合う画家、木下晋」

 

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社主の出版随想

▼年々暑さを体感する。日本のみならず世界中のあちこちで異変が起きているようだ。人間の仕業か、それとも地球を取り巻く環境の異変か。それにしても暑い。40度を超える所も出ている。日中、戸外で高齢者が道路工事をしている姿を見ると気の毒でならない。若者ならいざ知らず。しかしこの暑さもいつまでも続かないだろう。早くその日が来ることを祈るばかりである。
▼昨年から、昭和100年、戦後80年のメディア企画が目白押し。大正15年(1926)12月25日、大正天皇が崩御し、昭和が始まった。だから昭和元年といっても6日しかない。昭和の20年(1945)8月15日が終戦(敗戦)記念日で、それから戦後が始まる。80年が経過し、現在の日本人の殆どが戦後生まれといっても過言ではない。80代、90代でもお元気な方は沢山居る。そういう方々に励まされながら、一日一日を過ごしている。
▼「回顧」は何故必要か。今を生きる人間にとって、現在を考えるためには、過去の検証や洞察が必要になる。それによって将来の方向性やビジョンを描くことができる。人間や社会の性向は、200年や300年でそう変わるものではない。表面上は、流行に応じて変化はするが、内実はそう大きく変化はしない。「不易流行」だ。どうしても時の流れに関心がとられ、自分だけ取り残されるのではないかと疑心暗鬼になる方が大半かもしれないが、そういう時こそ、充分落ち着いて事を処すべしと先人も云うように。
▼小社も近年、大先輩たる大宅壮一(1900―70)、森繁久彌(1913―2009)、野間宏(1915―91)らの書物を刊行してきた。名前を列挙すると、彼らが皆関西人であることに改めてビックリする。こういう大人を眺めると、皆、泰然自若、軸足、視点は決して動かさず、我が道をまっしぐらに邁進してきたことがわかる。
▼今わが日本は、どういう方向に進むべきかのビジョンを示す政治家のリーダー不在のまま、つまり誰も責任を取る人間もないままアジアの中、否世界の中で浮游している感じだ。国民の大半もその時その時の気分で刹那的に生活しているようにみえる。こういう時が一番危ない。決して良い方向には進まないからだ。今こそ、明治維新の「五箇条の御誓文」の第一条「万機公論に決すべし」、第二条「上下心を一にして盛んに経綸を行うべし」に立ち戻るべきではないだろうか。(亮)

7月号目次

■『いのちを刻む』画家、木下晋に迫る
城島 徹 「『命そのものを見届けたい』」

■『四國五郎詩画集 母子像』新編刊行
四國 光 「“反戦平和の詩画人”渾身の詩画集」

■『日本人の知らないフランス』刊行
山口昌子 「パリで出会った忘れがたき人々」

■大田堯と山本昌知の対話『ひとなる』新版刊行
山本昌知 「大田先生に出会って」
永田和宏 「違っていることこそが人間の本質」

■国際的社会学者・鶴見和子、没20年
太田阿利佐 「鶴見和子の『遺言』をどう受け継ぐか」

■11万人の遺児を支援した玉井義臣さん一周忌
あしなが育英会会長 村田 治 「あしなが運動を世界へ」

〈連載〉山口昌子 パリの街角から43「仏国家を揺るがすリヤナ事件」
    田中道子 メキシコからの通信40「FIFA W杯2026主催国メキシコ」
    宮脇淳子 歴史から中国を観る79「チベット仏教徒になったアルタン・ハーン」
    鎌田 慧 今、日本は87「六ヶ所村『虚大怪発』の現状」
    村上陽一郎 科学史上の人びと40「ロザリンド・フランクリン(承前)」
    中西 進 花満径124「荷風のヌーディズム」

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