2025年01月21日

月刊PR誌『機』2025年1月号 巻頭「創立35周年を迎えて」

 

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社主の出版随想

▼新しい年が明けた。昨年末から、インフルエンザの猛威が更に激しくなってきている。コロナ禍が4年も続き、もういい加減にしてくれと願う国民も多く居たと思うが、100年前のスペイン風邪と較べても死者は、圧倒的に少ない。この情報化社会の中で何倍にも増幅され、混迷の数年であったといっていいだろう。これから国や自治体の行政や国民サイドでも感染症にいかに対応するかの議論は巻き起こしておいた方がいいだろう。院内感染という流行言葉もあったが、沢山の感染者が病院に駆け込むだけで、患者は増えるし、病院の機能は麻痺する。
▼今も多くの難題を抱えている。政治経済は、この30年舵取りを間違ってきたのではないか。アベノミクスも当初は期待したが、消費税あたりからおかしくなった。こんなに経済の長期停滞が続き、周囲の国々にも追いつき追い越されることを30年前に誰が予想したか。一時は、世界一とも謳われた経済大国が、この30年足らずで、三等国、四等国になるとは。それと分配の問題がある。予算をどう使うか、この使い方の検証は毎年為されてきたのか。コロナ禍の時の、アベノマスクやワクチンの大量廃棄は、明らかに予算の無駄遣い。もっともっと他に大きな無駄遣いはあるだろう。この辺も、きちんと検証なされるべきだろう。
▼それから、もっとも大事なことは、教育educationだろう。つまり、引き出すこと。初等・中等・高等教育に至るまで、あらぬ方向に向かってないか。子ども達は、嬉々として毎日過ごしているだろうか。子どもを大切にしない国は滅びる。今は子どもでも10年20年経てば、明らかに彼らが国や社会の中枢を荷ってくる。その時に責任をもって仕事が出きるように育ってることが、「教育」の重要な役割ではないだろうか。
▼それから最後に文化。この国で大切にされてきたものはちゃんと継承されてきてるか。衣食住すべて、和から洋へこの150年の間に移行されてきたが、和の大切なものを継承するようになされているか。今一度新年を迎えるに当って、われわれは考えなければならない時が来ていると思う。(亮)

1月号目次

■「常識を問い直す。歴史を問い直す」をモットーに
藤原良雄  「創立35周年を迎えて」

■実は大いなるナショナリストであった
渡辺利夫  「福澤諭吉は、一体いかなる人物か?」

■この半世紀の読書から何を見てきたか
中村桂子  「今 地球は? 人類は? 科学は?」

■その生涯を、作品を通して辿る
堀 和恵  「森崎和江が目指したものとは?」

〈連載〉叶 芳和 日本ワイン 揺籃期の挑戦者9「ワイン造りは人を蘇らせる」
    山口昌子 パリの街角から25「ノートルダム大聖堂再建」
    田中道子 メキシコからの通信22「グアダルペのマリア」
    宮脇淳子 歴史から中国を観る61「『平民主義』が台頭」
    鎌田 慧 今、日本は69「狭山・石川一雄氏の受難」
    村上陽一郎 科学史上の人びと22「ニールス・ボーア」
    方波見康雄 「地域医療百年」から医療を考える43「町医者のプライマリ・ケア方法叙説」
    山折哲雄 いま、考えること22(最終回)「ふたたび、『啐啄の弁証法』」
    中西 進 花満径106「血の告白」

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