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初期作品集
石牟礼道子全集・不知火 第1巻 (全17巻・別巻一)

商品の詳細

初期作品集

  • 石牟礼道子
  • 解説・金時鐘  表紙デザイン・志村ふくみ
  • A5上製貼函入布クロス装 664ページ
    ISBN-13: 9784894343948
    刊行日: 2004/07
  • 定価: 7,020円

ことばの奥深く潜む魂から“近代”を鋭く抉る、鎮魂の文学

 「短歌は、詠嘆にはじまり詠嘆に帰結するのではないか。架空の小市民的団欒を芸術的であると思い込む幻想。永久に生活に根づかないサロンへの憧憬。そのような中間性から生れるかぎり短歌は文芸でしかあり得ない。私だけではなかつた。療養作家の悲痛な作品すら個人の美しき終焉としてかざられ人間の深部をえぐらぬのはなぜだろう。重い詠嘆を切りすてる、そうすることでしか再び短歌を、あののびやかなきびしい詩性をみいだすことが出来ぬから。」

(本文より)

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目次

I エッセイ

タデ子の記

短歌への慕情
「変調語」 より
沼川良太郎論
可子夫人のうた
白 暮
八幡部落を通る
風神通信
いとしさの行方
南九州の土壌
愛情論初稿
詠嘆へのわかれ
妣たちへの文序章
おもかさま幻想
階層のメタンガス
順々おくり
舟曵き唄
とんとん村
水俣病
ゆのつるの記
水俣病、そのわざわいに泣く少女たち
南九州の女たち ―― 貞操帯
詩と真実
主観の風景化
とうきびが実を組むように
桶屋の発明
石の花
野鍛冶の娘より
海 へ
観音まつり
故郷と文体
カツオに躍る夢
氏族の野宴
刺身のつまの発言
トンカツをどうぞ
高群逸枝さんを追慕する
恥の共有について
未発の志を継ぐ
この世がみえるとは ―― 谷川雁への手紙
底辺の神々
秀島由己男の画
松田富次君とラジオ
孤立宣言
ねばっこい日本的余情 ―― 『負籠の細道』 (水上勉 著) を読む
パラソル
ふゆじのお大臣
水俣病その後
橋本憲三氏へ
海底からの証言
ボーヴォワールの来日と高群逸枝
「どこで生れた者かわからんように」
高群逸枝との対話のために ―― まだ覚え書の 「最後の人・ノート」 から
まぼろしの村民権 ―― 恥ずべき水俣病の契約書
わが不知火
菊とナガサキ
続・菊とナガサキ
阿賀のニゴイが舌を刺す
西南役伝説


II 詩



点 滅
とのさまがえる
埴生の宿
烏 瓜
馬酔木の鈴
川祭り
娼 婦
連 帯
集 会
胎 教
出 生
午 睡
卑弥呼
朱い草履

木樵り
なすびをたべているおかあさん
七 草

野鍛冶の女房

花紫賣りのおつやしゃん
花をあなたに
水 影
墓の中でうたう歌
受 胎
糸繰りうた
隠 亡
背中のうた
便 り
瓔 珞
とんぼ
いっぽん橋
「初期詩篇」 の世界 (インタビュー)


III 短歌

友が憶えゐてくれし十七のころの歌
冬の山 (二〇首)
満ち潮 (五首)
道 生 (二三首)
泡の声 (三六首)
わだちの音 (一六首)
白 猫 (一〇首)
春蟬 (九首)
うから (二三首)
春 衣 (一四首)
木 霊 (一九首)
白痴の街 (一三首)
火を焚く (一二首)
雪 (一六首)
氾れおつる河 (一九首)
藻 (一五首)
にごり酒 (一八首)
指を流るる川 (一四首)
海と空のあいだに (一二首)
鴉 (一八首)
廃 駅 (一六首)
あらあら覚え



解 説 「そこで生きとおしている人の詩」   金時鐘
あとがき
後 記

関連情報

本全集の特徴
  1. 『苦海浄土』を始めとする著者の全作品を年代順に収録。従来の単行本に、未収録の新聞・雑誌等に発表された小品・エッセイ・インタヴュー・対談まで、原則的に年代順に網羅。
  2. 人間国宝の染織家・志村ふくみ氏の表紙デザインによる、美麗なる豪華愛蔵本。
  3. 各巻の「解説」に、その巻にもっともふさわしい方による文章を掲載。
  4. 各巻の月報に、その巻の収録作品執筆時期の著者をよく知るゆかりの人々の追想ないしは著者の人柄をよく知る方々のエッセイを掲載。
  5. 別巻に、著者の年譜、著者リストを付す。

『石牟礼道子全集』を推す【藤原書店PR誌『機』2004年4月号より】
五木寛之(作家)/ 大岡信(詩人)/ 河合隼雄(臨床心理学者)/ 金石範(作家)/ 志村ふくみ(染織家)/ 白川静(中国古代文学者)/ 瀬戸内寂聴(作家)/ 多田富雄(免疫学者)/ 筑紫哲也(ジャーナリスト)/ 鶴見和子(社会学者)

各巻構成
本全集を読んで下さる方々に    石牟礼道子

 わたしの親の出てきた里は、昔、流人の島でした。

生きてふたたび故郷へ帰れなかった罪人たちや、行きだおれの人たちを、この島の人たちは大切にしていた形跡があります。名前を名のるのもはばかって生を終えたのでしょうか、墓は塚の形のままで草にうずもれ、墓碑銘はありません。

こういう無縁塚のことを、村の人もわたしの父母も、ひどくつつしむ様子をして、『人さまの墓』と呼んでおりました。

「人さま」とは思いのこもった言い方だと思います。

「どこから来られ申さいたかわからん、人さまの墓じゃけん、心をいれて拝み申せ」とふた親は言っていました。そう言われると子ども心に、蓬の花のしずもる坂のあたりがおごそかでもあり、悲しみが漂っているようでもあり、ひょっとして自分は、「人さま」の血すじではないかと思ったりしたものです。いくつもの顔が思い浮かぶ無縁墓を拝んでいると、そう遠くない渚から、まるで永遠のように、静かな波の音が聞こえるのでした。かの波の音のような文章が書ければと願っています。

   2004年3月31日  【藤原書店PR誌『機』2004年4月号より】

●特別愛蔵本のお知らせ●

 人間国宝の志村ふくみ氏作の本藍染布クロスで装った特装版を特別に各巻限定30部作作成致します。頒価各巻50,000円。ご希望の方は、小社まで直接お申し込み下さい。

●全巻購入者特典●
 全巻をご購入いただいた読者の方には、著者自筆の「花を奉るの辞」を完結後に贈呈致します。各巻のオビに付いております請求券(第1巻から別巻までの計18枚)をまとめて小社までお送り下さい。