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政治・社会

世界像革命
家族人類学の挑戦

商品の詳細

世界像革命

  • エマニュエル・トッド
  • 石崎晴己 編
  • A5判 224ページ
    ISBN-13: 9784894342477
    刊行日: 2001/9
  • 定価: 3,024円

マルクス主義以降の最も巨視的な世界像革命

家族構造分析を軸とする人類学的分析で従来のヨーロッパ観を塗り替えた名著『新ヨーロッパ大全』で知られるトッドの世界と魅力をトータルに示す。トッドの思想の核心に迫る日本人との議論を収録(速水融・三浦信孝ほか)

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目次

はじめに   エマニュエル・トッド (石崎晴己 訳)

第Ⅰ部 世界像革命

トッド人類学の基礎  石崎晴己

家族制度の共時態  トッドの歩み  家庭集団の発展サイクル  世界の家族構造の一覧  教育潜在力  『新ヨーロッパ大全』 ――近代世界の形成  マルクス主義への反駁  『移民の運命』  ―― トッド版欧米近現代史の完成  トッドは正しいか ――決定論論争  トッドはどこへ行くのか ―― 共時態から通時態へ

* [収録図版]
図1  家族型の特徴  地図1 世界の家族型  地図2 ヨーロッパの家族型  地図3 西ヨーロッパの家族型  表1 家族型と社会現象  表2 ヨーロッパのイデオロギー  表3 受け入れ国の人類学的システムと主要な移民集団

わが 「世界像革命」 の歩み  E・トッド (荻野文隆 訳)

―― 世界の多様性』 序文 ――

人類学的決定論と人間の自由  性急さと暴力性  ふたつの科学的な誤謬


第Ⅱ部 トッド日本で語る

グローバリゼーション下の世界を読み解く  E・トッド  (石崎晴己 編訳)

世界は均質化したか  四つの家族型  二つの資本主義  移民の問題

ネーション消滅の幻想  E・トッド (石崎晴己 編訳)

―― ヨーロッパ統合の根本問題 ――

フランスの多様性  ヨーロッパ統合は実現可能か  移民に対する態度の違い

科学性と政治性 ―― E・トッド氏を囲んで荻野文隆・三浦信孝

(司会) 石崎晴己 (石崎晴己 編訳 / 荻野文隆・三浦信孝 訳)

研究者トッドの個人史  絶対核家族型の政治学は日本に当てはまるか  「知らない」 と言う権利  マーストリヒト条約への懐疑 ケンブリッジで学んだもの 『最後の転落』 とソヴィエト体制  日本への影響は ――ウルトラ・リベラリズムの危険  フランスのアイデンティティをめぐって  植民地主義への視点  ナショナル共和主義者か否か  オーストリアの問題  クレオール化と文化的メティサージュ  ユダヤ人出身の意味


第Ⅲ部 人類学の革新

対談  家族構造からみた新しい 「日本」 像  E・トッド+速水融 (三浦信孝 訳)

『新ヨーロッパ大全』 の日本版  歴史人口学との出会い  人口統計と家族形態の分析  家族構造とイデオロギーの関係  「人類学的手法」 は決定的か?  制度は家族構造を変えうるか?  家族形態が消滅しても存続する価値体系  家族構造からみえる新しい 「日本」 像  家族形態の伝播  日本の多様性の質

対談を終えて ――エマニュエル・トッドの魅力   速水融

* [収録図版]
地図1 明治14 (1881) 年郡区別平均世帯規模
地図2 明治19 (1886) 年県別世帯あたり平均夫婦組数
地図3 明治19 (1886) 年県別平均初婚年齢 ―女性 (推定)

新人類史序説 ――共同体家族システムの起源 L・サガール+E・トッド 

     (石崎晴己・東松秀雄 訳)

サンプルの成分  家族集団の四つの発展サイクル  分布図の解釈に対する言語学の貢献 ――周辺部に旧いものが残るという原則  共同体家族という革新  共同体家族の意味とベクトル  当初の状況は異種混淆的であった革新はいつ起ったか ――歴史のいくつかの要素  共同体家族への革新と古典的民俗学

* [収録図版]
地図1 『第三惑星』 中の地図 (単純化したもの)  地図2 旧世界における家族の発展サイクル  地図3 ヨーロッパ北西部における口蓋垂の r の分布  地図4 ジイエロンによるフランス語方  言に見るミツバチの呼び方  地図5 ブリテン諸島の英語方言における 「母音の後の r」 の分布  (都市部)  地図6 共同体家族という革新 ―― 中央と周辺

編者あとがき
エマニュエル・トッド著作一覧
キーワード索引

関連情報

■エマニュエル・トッド(Emmanuel TODD)■
1951年生。歴史人口学者・家族人類学者。フランス国立人口統計学研究所(INED)に所属。作家のポール・ニザンを祖父に持つ。L・アンリの著書を通じて歴史人口学に出会い、E・ル=ロワ=ラデュリの勧めでケンブリッジ大学に入学。家族制度研究の第一人者P・ラスレットの指導で、76年に博士論文『工業化以前のヨーロッパの7つの農民共同体』を提出。
同年、『最後の転落』で、弱冠25歳にして乳児死亡率の上昇を論拠に旧ソ連の崩壊を断言。その後の『第三惑星――家族構造とイデオロギー・システム』と『世界の幼少期――家族構造と成長』(99年に2作は『世界の多様性 』 (荻野文隆訳)として合本化)において、各地域における「家族構造」と「社会の上部構造(政治・経済・文化)」の連関を鮮やかに示す、全く新しい歴史観と世界像を提示。
新ヨーロッパ大全 』I ・II (石崎晴己・東松秀雄訳)(90年)では多様性に満ちた新しいヨーロッパ像を提示、『移民の運命 』〔同化か隔離か〕 (石崎晴巳・東松英雄訳)(94年)では家族構造が各国の移民問題に決定的な影響を与えていることを分析し、『経済幻想 』 (平野泰朗訳)(98年)では家族構造に基づく経済構造の多様性の認識から、アングロ・サクソン型個人主義的資本主義を唯一の規範とするグローバリズムを批判し、金融に過剰依存するアメリカ経済の脆弱さをいち早く指摘。
「9・11テロ」から1年後、対イラク戦争開始前の02年9月に発表された『帝国以後 』〔アメリカ・システムの崩壊〕 (石崎晴己訳)では、「米国は唯一の超大国」といった世界の一般的な対米認識に反して、「アメリカの問題は、その強さにではなく、むしろその弱さにこそある」と、アメリカの衰退、とりわけその経済力の衰退を指摘し、アフガニスタン攻撃に始まる米国の軍事行動を、自らの覇権を演劇的に世界に誇示するための「演劇的小規模軍事行動」と断定。28カ国以上で翻訳され、世界的大ベストセラーとなり、とりわけ独仏を中心とする、対イラク戦争反対の理論的支柱となった。
文明の接近 』〔「イスラームvs西洋」の虚構〕 E・トッド+Y・クルバージュ (石崎晴己訳)(07年)では、『帝国以後 』でのイスラム圏分析をさらに深化させ、出生率の下降と識字率の上昇を論拠に、「イスラム原理主義」の表層的現象ばかりに目を奪われる欧米のイスラム脅威論に反して、着実に進むイスラム圏の近代化を指摘。
デモクラシー以後 』〔協調的「保護主義」の提唱 〕(石崎晴己 訳=解説)(09年)では、サルコジ大統領誕生に体現されたフランス社会とデモクラシーの危機を分析し、「エリートが自由貿易体制に疑義を呈さないことが格差拡大、金融危機につながっている」と、需要を掘り起こし、ヨーロッパのデモクラシーを守る最後の手段として、均衡のとれた保護主義を提唱している。