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哲学・思想

テクノクラシー帝国の崩壊
「未来工房」の闘い

商品の詳細

テクノクラシー帝国の崩壊

  • ロベルト・ユンク
  • 山口祐弘 訳
  • 四六変上製 208ページ
    ISBN-13: 9784865781465
    刊行日: 2017/10
  • 定価: 3,024円

“遅すぎることはない!” 40年前に話題を博した『原子力帝国』の著者ユンクの遺書!

危険が大きすぎるゆえに、技術への人間の従属を強いる原発産業の構造を『原子力帝国』で暴いたユンク。本書では原子力のみならず生物工学、情報産業などの過剰な進展が同様の“帝国”をもたらすと訴え、代替エネルギー、環境保全、反核・反原発等々、“生命の危機”に抵抗する全ての運動を孤立化させず、“諦め”から脱し連帯を説く。

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目次


序 遅すぎることはない

第一章 妨害から変革へ
起き上がり小法師/抵抗はなぜ自己に懐疑的になるのか?/技術官僚政治の魅惑の終焉/罠としての「好戦的態度」/抵抗運動――想像の「工房」/知識人の課題

第二章 原子力帝国から技術帝国へ
全体主義的な技術官僚政治/狙われる自然の貧困化/情報科学の破壊性

第三章 エリートたちの懐疑
「頭の中の鋏」への反抗/秘密科学への回帰?/「宇宙戦士」の離脱/カインのしるし/新たな学生運動の始まり/変革を知らせる燕

第四章 われわれの希望の現実性
科学は新しい「唯心論的パラダイム」を必要とするか?/哲人王か哲人国民か/「パノプチコン」との訣別/ほとんど誰もが当事者である

第五章 自主的な創造者であること
一通の手紙が洪水を引き起こす/創造力の活性化運動の始まり/「未来工房」とは何か?/地平の拡大/第三世界からの救済

第六章 実験的社会への道
失敗から学ぶ/希望の徴/新しい産業文明の始まり/具体的なユートピア/変革はどのようにして起きるのか?

第七章 一九八九年の革命
「自由、平等、友愛」――今日と明日/「非政府組織」が身を乗り出す/空想的人物/革命から学ぶ/新しい啓蒙のために/見通しと予測/「威嚇」より「励まし」

 訳者解説/参考文献

関連情報

◎一個の亡霊が世界を徘徊している。諦めという亡霊がである。(…)すべては没落の方に舵を切っているように見える。どんな新たな始まりも許さない終末、再生をもはや許さないほどの崩壊と破壊に向かってである。
◎歴史的に見ると、われわれの時代は比類を絶するものである。これまでは、どんな戦争の後にも、復興を可能にし傷を癒す状態が続いたものである。墓地は草で覆われ、戦場は再び農地になることができた。死と再生のこのリズムは、人間の共同社会の生活の中では自明のこととなっていた。今日、われわれは、宗教的な迷信として否定されているように見える大昔の不安とともに生きている。世界の没落の観念とともにである。今度は、それは神の宣告によって引き起こされたのではなく、科学的な認識と完璧になった技術的能力の樹木の、毒を含んだ果実として生まれたのである。
(本文より)


ロベルト・ユンク(Robert Jungk)
1913年、オーストリア国民の子としてベルリンで生れる。32年ベルリン大学で哲学を学ぶ。33年、国会議事堂炎上の翌日に逮捕、釈放の後パリに亡命。33~35年、ソルボンヌで研究しつつジャーナリストとして活動。36年ドイツに不法入国、非合法の通信活動に協力。37年チェコスロヴァキアに亡命。39年以後チューリッヒで研究を再開。許可なく複数の日刊・週刊紙に偽名で寄稿、国外追放処分決定の後、数ヶ月間収監。44年~ベルン所在のロンドン『オブザーバー』紙通信員。『ヴェルトヴォッヘ』通信員。48年、ニューヨーク(国連)とワシントンのスイス新聞通信員。49年~ロサンゼルスに移住。56年、第1回の広島訪問。57年~ウィーンに居住。「核による死との闘い」運動に参加。60年オーストリア反核運動の議長。64年、「未来問題研究所」をウィーンに設立、第1回「未来工房」開催。67年「二千年の人類」をロンドンに設立。未来研究のための第1回世界会議をオスロで組織。68年ベルリン工科大学客員教授。70年~ザルツブルクに居住。ベルリン工科大学名誉教授。1980年~平和運動に献身。86年ロベルト・ユンク基金「未来問題のための国際図書館」をザルツブルクに開設。「ライト・ライブリフッド賞(もう一つのノーベル賞)」を受賞。94年没。

●山口祐弘(やまぐち・まさひろ) 1944年生。東京理科大学名誉教授。哲学専攻。
著書に『ヘーゲル哲学の思惟方法』(学術出版会)『ドイツ観念論の思索圏』(同)『カントにおける人間観の探究』(勁草書房)他。訳書に、ユンク『原子力帝国』(日本経済評論社)、ヘーゲル『論理の学』1~3(作品社)、ホルクハイマー『理性の腐蝕』(せりか書房)他。