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関釜連絡船 (上)

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関釜連絡船 (上)

  • 李炳注(イ・ビョンジュ)
  • 橋本智保 訳
  • 四六上製 384ページ
    ISBN-13: 9784865781090
    刊行日: 2017/01
  • 定価: 3,456円

植民地とは、民族とは、国家とは? 朝鮮半島の歴史的経験を「世界文学」として描く! 韓国の国民的作家による長篇代表作、待望の完訳

植民地支配、戦後のイデオロギー対立、そして朝鮮戦争……国家分断に至る苦難の過程を経験した韓国の国民的作家が、同時代を生きた当事者の視点で、その歴史的経験の意味を正面から問うた傑作長編、遂に邦訳。

あらすじ〈上巻〉
朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった一九四〇年代初頭。
地方名家に生まれた柳泰林は、遊学した欧州で自由で対等な議論の空気に触れ、それと対照的な日本と朝鮮との関係を象徴する関釜連絡船に興味を抱く。やがて東京の私立大学に進学すると、関釜連絡船に乗った朝鮮の愛国の志士が、志を果たせず船から身を投げたという事件を知り、その真相を調査して手記に書き残すことを決意する。
戦争末期、日本の学徒兵として中国の戦線に赴いた泰林は、終戦後、解放された朝鮮に戻り、地方都市の高校に教師として赴任するが、教師・学生の入り乱れた左右のイデオロギー対立に巻き込まれる。
そんな泰林の前に、東京時代に泰林を兄のように慕っていながら、彼からロシア研究書を借りたがゆえに特高刑事の拷問を受け、投獄されることになった女性、徐敬愛が姿を現す――

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目次


〈上巻〉
書 状
一九四六年夏
流れていった風景
柳泰林の手記 一
濁流の中で
柳泰林の手記 二
徐敬愛

〈下巻〉
柳泰林の手記 三
テロの季節
一九四七年夏
柳泰林の手記 四
不連続線
汚辱と彷徨
いくつかの挿話
破 局
エピローグ
柳泰林の手記 五

 訳者あとがき

関連情報

【著者紹介】
李炳注(イ・ビョンジュ 1921-1992)
1921年、韓国慶尚南道河東(ハドン)に生まれる。日本の明治大学文芸科、早稲田大学仏文科に学ぶ。その後、解放された韓国に戻り、故郷の晋州(チンジュ)農科大学、海印(ヘイン)大学で教鞭を取り、また釜山にて『国際申報』の主筆兼編集局長を務める。
44歳で小説家の道を歩み始めた李炳注は、1992年に他界するまでの27年間、旺盛な執筆活動を続け、80冊を超える膨大な作品を残す。
1964年、中編小説「小説アレクサンドリア」を月刊教養雑誌『世代』に発表した後、『智異(チリ)山』(全7巻、邦訳東方出版、2015年)『関釜連絡船』(全2巻、本書)『山河』(全7巻)『小説南労党』『その年の五月』(全6巻)などの大河長編小説を次々と連載、その他にも数多くの中・短編を発表する。長編小説『幸福語辞典』(全5巻)は発表当時、多くの読者を魅了して熱狂的な支持を受け、テレビドラマ化された。
言論人としての長年の経験を土台として書かれた多くの作品は、一時代の優れた「記録者としての小説家」「証言者としての小説家」という評価を受けている。また、東京留学、学徒出陣を経て、南北のイデオロギー対立、朝鮮戦争、韓国単独政府樹立という波乱万丈な現代史を生き抜いた作家の個人的な経験は、歴史とは何かをめぐって深く苦悶し、それを文学作品として昇華させる原動力にもなったといえる。
「太陽が色褪せると歴史になり、月光が色褪せると神話になる」という言葉を好んだという李炳注は、人間に対して希望と愛情を持ち、歴史の表舞台には出てこない名もない人々を描き続けた。そんな李炳注の文学は、歴史意識の不在、文学の危機といわれる今日、再び注目を浴びている。
2006年、ハンギル社より『李炳注全集』(全30巻)が刊行される。

【訳者紹介】
橋本智保(はしもと・ちほ)
1972年生。東京外国語大学朝鮮語学科を経て、ソウル大学国語国文学科修士課程修了。韓国文学翻訳家。訳書に鄭智我『歳月』(2014年)千雲寧『生姜』(2016年、共に新幹社)など。