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われわれの小田実

商品の詳細

われわれの小田実

  • 藤原書店編集部編
  • 四六上製 304ページ
    ISBN-13: 9784894349261
    刊行日: 2013/07
  • 定価: 3,024円

今もわれわれの中に生き続ける「小田実」の全体像!

■七回忌記念出版■
2007年7月30日に作家、小田実氏が世を去ってから6年。「作家」であることに拘りつづけながら、ベ平連、阪神・淡路大震災被災者支援など、その枠組みを常にはみ出さずにはいられなかった闘士、小田実とは何だったのか。小田実をよく識る74人、2団体の寄稿から、今もわれわれの中に生き続ける「小田実」の全体像を描く。

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■ お詫びと訂正 ■
本書『われわれの小田実』217頁末において、下記の文章が脱落しておりました。著者ならびに読者の皆様にお詫び申し上げますと共に、謹んで訂正させていただきます。
正誤表データは、下の「中身を見る(1)」リンクをご参照下さい。

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目次

 はじめに

スタイル  鶴見俊輔
呼びかけ人  加藤周一
中有の小田実へ  瀬戸内寂聴
『玉砕』を翻訳して  ドナルド・キーン
あなたは〝友〟です  高銀
言葉と行動の一致  金大中
貴い民衆思想  玄基栄
「世界市民」を送る  黄晳暎
恐るべき損失  ノーム・チョムスキー
一九六六年の出会い  ハワード・ジン
よりよき正しい世界を求める闘士  ヤン・ミュルダール
  *  *  *
小田は其処にいつづけた  子安宣邦
ギリシア古典がとりもつ縁  沓掛良彦
小田実氏と「現代思想」  高草木光一
世界的英雄、近所の洟垂れ小僧  米谷ふみ子
半世紀に及ぶ「一期一会」  西田勝
小田さんに言った最後の意見と、言えなかった意見  吉川勇一
タダ働きをした人  吉岡忍
「……かわらぬ愛と尊敬をこめて」  オイゲン・アイヒホルン
  *  *  *
仲間の一人として  澤地久枝
悔 い  林京子
自伝としての『終らない旅』  真継伸彦
小田実さんの「夢」を見た  高史明
名刺とリアリズム  柴田翔
「河」の運命  南條彰宏
長い旅をつづける作家の「旅愁」  宮田毬栄
静寂の記憶  竹西寛子
スタンフォード大学での小田さん  ドウス昌代
小田さんの「優しさ」  黒古一夫
われわれに遺された膨大な著作  ロマン・ローゼンバウム
夏終る柩に睡る大男  黒田杏子
世直しの覇者  いわたとしこ
『HIROSHIMA』のこと  高橋武智
柔軟な剛直さ  鎌田慧
「ただの人」でありつづけようとした小田実さん  山口幸夫
七四年九月の集会のこと  和田春樹
市民主権への情熱  早川和男
市民運動と文学と  小中陽太郎
四十年前の私の原点  山口たか
“市民”と“議員”の同時体験  本岡昭次
気持ちのよい、実りある共同  志位和夫
「お前はアホや、勉強せえ」  辻元清美
小田実さんと“栗原サロン”  栗原君子
人間の国へ、市民=議員立法  今村直
「市民の意見」とともに  北川靖一郎
節目のひとこと  金井和子
「脱走兵が来た」時に始まった  坂元良江
弔 辞  山村雅治
「文」以前の小田実  齋藤ゆかり
エッセイ頭と小説頭  中山千夏
小田さんの素晴らしい大家族  ブライアン・コバート

〈世界からの弔辞〉
勇気を与えることば  ジェローム・ローシェンバーグダイアン・ローシェンバーグ
ユーモアと政治的関与の見事な結合  マーティン・バナール
使命への献身  尾島巌
客員教授として迎えた喜び  村田幸子
複雑なことをシンプルに  ハンス=ペーター・リヒター
小田さんが引き受けた「仕事」  ヴォルフガング・シャモニ
『玉砕』のこと  ティナ・ペプラー
「私の大切なカメさんへ……」  マリオン・ナンカロー
世界中の人々を鼓舞しつづける  グンナー・ガルボルギット・ブロック=ウトネ
夢を求めるかぎり彼は私たちのなかに生きている  ジャンニ・トニョーニ
正義を求める責任感  マリア・アルギラキ
平和と自由のためのたたかい  マルチン・ムーイ
フィリピン人移民としての感謝  MIGRANTE ヨーロッパ
フィリピン民衆としての感謝  フィリピンにかかわるP‌P‌T第二回法廷組織委員会
常識とふつうの人への信頼  金鍾哲
日本人でありながら世界人  趙根台
正義のための行動  姜惠淑
ベトナムの平和への多大な貢献  グエン・カー・ラン
平和と友情のために  グエン・ヴァン・フイン
日本とベトナムの友情  レ・フン・クオックヴォ・アン・チュアンホアン・アン・チュアン
  *  *  *
「難死」の思想と現代  道場親信

 小田実年譜(1932~2007)  構成=金井和子
 小田実著作一覧  作成=古藤晃・金井和子

関連情報

はじめに

 2007年7月30日午前2時5分、作家の小田実さんが、胃がんのため東京都内の聖路加国際病院で逝去された。享年75。
 小田さんは、1932年6月、大阪で生まれた。「五・一五事件」の年で、軍部が擡頭して日本の社会状況が転換してゆく頃である。やがて日本は支那(中華民国)や米国と泥沼の戦争に突き進んでゆく。1945年8月14日、大阪は米国の大空襲をうけ、小田さんは多くの友人を失った。無条件の降伏を受け入れながらも、15日正午まで全国民に敗戦を知らせなかった天皇及び日本国家への怒り。又、降伏が決定したのに、空爆を続けた米国への怒り。齢13の時のこの二つの怒りが、その後の自分の思想と行動の原点である、と小田さんは語る。
 17歳で作家中村真一郎に認められ作家デビューを果たす。東京大学大学院で西洋古典学を学んだ後、「フルブライト基金」を受け、ハーバード大学大学院に留学するが、アメリカ合州国、メキシコ、ヨーロッパ、中近東、アジアなど世界各地を歩いて回り、29歳の時、大ベストセラー『何でも見てやろう』が誕生したのである。
 これを皮切りに猛烈な作家活動は膨大な著作群を生みだしてゆく。そして1965年、いわゆる「べ平連」の運動を始める。小田さん33歳。1972年には、韓国の詩人金芝河の救援活動に携わり、その後の金大中の救援活動、韓国民主化闘争支援にまで関わる。その他、「恒久民族民衆法廷」「アジア・アフリカ作家会議」「市民の意見」など、自身が積極的に関わった活動は数知れない。
 1995年1月17日未明、阪神淡路大震災で被災。翌年から被災者に対する「公的援助」を求める「市民=議員立法」、すなわち、市民と議員が協力して法律を作成する運動を展開。小田さん自らが弁護士の協力を得て、前文から始まる法案を作成する。超党派で運動を展開するも、政党同士の思惑の中でかなり骨抜きにされたが、遂に三年後、災害の被災者支援を初めて可能にした「被災者生活再建支援法」が作られた。市民の運動によって成立した画期的な法律である。
 大学時代、西洋古典学を学ぶ中で、世界の各地を自分の目で見て歩くという冒険に挑んだ小田実。「作家」であることに拘りつづけながら、「作家」とは何かを常に考え続け、ジャーナリストでもあった小田実。広大な世界認識と歴史認識をもち続けようとした小田実。どんな権力にも屈しない闘士でありながら、常に市民の立場に立ち、そのユーモアで数多くの人々を魅了しつづけた小田実。そして亡くなった今もわれわれの中に生き続ける「小田実」。
 本書は、小田さん歿後七回忌にあたり、小社の学芸総合誌・季刊『環』の特集に加筆修正して、74人、2団体の国内外の方達に執筆ご協力いただき、小田実の全体像を描くことを試みたものである。
   2013年7月
藤原書店編集部