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「鎖国」と資本主義

商品の詳細

「鎖国」と資本主義

  • 川勝平太
  • 四六上製 392ページ
    ISBN-13: 9784894348851
    刊行日: 2012/11
  • 定価: 3,888円

「海洋アジア」の視座から「鎖国」像を刷新する決定版!

なぜ資本主義という経済システムは、ユーラシア大陸西端の島国イギリスとともに、東洋では、他ならぬこの日本において発生したのか?
母胎としての「海洋アジア」、江戸期の「サムライ資本主義」など、著者の蓄積してきた知見を総合し、日本資本主義成立の基盤としての「鎖国」の真の意義を明快に論じた決定版!

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目次

はしがき

序 「鎖国」と資本主義

I 近代はアジアの海から
はじめに――「豊饒の海の半月弧」から始まる新しい地球史/文明の海洋史観/海洋アジアの勃興/十四世紀の危機と東南アジア/キリスト教・イスラム教の文明世界/海から見た時代区分/海洋アジアとヨーロッパ/海洋アジアと産業革命/海洋アジアと近世日本/鉄砲の時代/二つの世界秩序/富国強兵を超えて/「庭園の島(ガーデン・アイランズ)」日本

II 鎖国と近代世界システム
新しいアジアのドラマ/イギリスと日本の近世/アジアにおける「近代の超克」/書評 鈴木成高著『ヨーロッパの成立・産業革命』

III 江戸日本と清代中国の比較文明考
「鎖国」再考/アジア間競争と脱亜/文明の交代/軍事に対する態度/書評 角山榮著『「通商国家」日本の情報戦略――領事報告をよむ』

IV 海洋アジアのなかの日本
地球地域学/海洋アジア/アジア間競争/補論 A・G・フランク『リオリエント』を題材に

∨ いま、何をなすべきか
静かな革命/自然観の復権

関連情報

 「江戸時代の鎖国と日本資本主義との関係はどういうものかという質問に答えます。一言でいえば、日本は「鎖国」によってアジア最初の資本主義をはぐくんだ、ということです。
 第二次世界大戦での敗戦後、日本の学界では「日本は鎖国をして長く西洋との交通を遮断したので近代化が遅れたのだ」という論法で鎖国はマイナス評価を受けました。他方、高度成長を成し遂げると、今度は、鎖国のなかの安定した社会の「成熟」が日本の経済発展の下地にあったといった鎖国肯定論が台頭してきました。
 鎖国を肯定するにせよ否定するにせよ、いずれも近代西洋を価値基準にして鎖国を評価しているという点では同列です。しかし、西洋が日本の鎖国期に先進地域であったのかと言えば疑わしいのです。史実や統計に照らせば、アジアよりも西洋が優位に立ったのは1800年頃以降のことにすぎません。
 それにもまして、これまでの「鎖国」の評価では、鎖国が投げかけている最大の疑問に答えられません。それは鎖国と日本の近代化との関係にかかわりますが、「アジア諸国のなかで日本だけがなぜ早くも明治期に欧米列強に伍していく近代化ができたのか」という問いかけです。
(序章より)


川勝平太(かわかつ・へいた)
1948年京都生まれ。静岡県知事。専攻・比較経済史。
早稲田大学大学院で日本経済史,オックスフォード大学大学院で英国経済史を修学。D.Phil.(オックスフォード大学)。早稲田大学教授,国際日本文化研究センター教授,静岡文化芸術大学学長などを歴任し,2009年7月より現職。
著書に『日本文明と近代西洋――「鎖国」再考』(NHKブックス)『富国有徳論』(中公文庫)『文明の海洋史観』(中央公論新社)『海から見た歴史』『アジア太平洋経済圏史1500-2000』(編著)『「東北」共同体からの再生』(共著,以上藤原書店)など多数。