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『環――歴史・環境・文明』

〔学芸総合誌・季刊〕 環 Vol.40
いま、「農」を問う

商品の詳細

〔学芸総合誌・季刊〕 環 Vol.40

  • 菊大並製 368ページ
    ISBN-13: 9784894347274
    刊行日: 2010/1
  • 定価: 3,360円

新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌

 「農」は、我々の「生活」の根幹である。「農」こそ、我々の日々の「食」を支えているからである。全く自明のことだが、しかし我々は、経済至上主義が支配する日常生活のただ中で、このことを忘れてしまっているかのようである。そして、世界規模の気候変動や環境悪化がもたらす食糧危機、衰退著しい日本の農業と低下する食糧自給率、農薬や化学肥料の使用と食の安全性への不安……といったように、「農」は、いま、あらゆる次元で危機に瀕している。
 だが「農」の危機は、単に「食」の危機を意味するだけではない。「農」は、それぞれの地域の「経済」と「社会」と「文化」の根幹でもある。「農」が破壊されれば、その地域における雇用から自然環境、伝統文化、共同生活に至るまで、すべてが破壊される。有機農業実践の長年にわたる地道な努力によって、農業それ自体だけでなく、地域全体を活性化させた山形県高畠町のような例は、そのことを逆から証明していよう。
 貨幣経済の絶対視は、「途上国と先進国」「アジアと日本」「農村と都市」「生産者と消費者」「自然と人間」「伝統と現代人」「次世代と現代人」といった二項対立をつくりだす。「農」を問うことは、この二項対立を超えようとすることである。すなわち「隣人や他者や自然と共にどう生きるか」ということを「農」という問題は、我々に問いかけているのである。

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目次

【特集】いま、「農」を問う

 

土についての宣言

イバン・イリイチ(訳=編集部)

土の哲学を抜きにして、徳も生存の新しいかたちもありえない。

 

異なる視点から「農」に関わってきた、各分野の第一人者による熱論!

〈座談会〉

「農」という原点――「農」から変える暮らしと社会

原剛星寛治大江正章山下一仁(司会=編集長)

自給率低下、環境破壊、農業就業者の高齢化など日本に山積する問題を、

産業としての「農業」ではなく、人間生活の根源としての「農」から考える。

 

農の思想と外からの思想

【「自然」の抽象化にどう抗するか】

宇根 豊

 

「農業問題」は「消費者の問題」だ

山下惣一

 

いま、なぜ「農」か【「自然農」から考える】

今野時雄

 

生き残るための食農教育

竹熊宜孝

 

作間順子「農」――象形文字絵と書

 

高畠・有機無農薬農法がもたらしたもの【農政との関連で】

原 剛

 

野の復権【社会主義と市場主義を超えて】

吉川成美

 

今なぜ農へ【「フォルケホイスコーレ」から考える、豊島の未来】

石井 亨

 

TEIKEIからAMAPへ【フランスに台頭する地産地消の市民運動】

アンベール雨宮裕子

 

新渡戸稲造と河上肇【日本農政学の系譜】

住谷一彦

 

農ハ国ノ大本ナリ【その虚像と実像について】

一海知義

 

生産力主義的農政を超えて【食料・農業・農村基本法の問題点】

池上甲一

 

食の見直しと農の再生【身土不二の視点から】

中島紀一

 

 

 

石牟礼道子の句 老天使

 

 

 

「開発支援」に生きる後藤新平の思想

【第三回「後藤新平賞」受賞講演】

緒方貞子 独特の視点から台湾・満洲の経営に当った後藤新平から、今、何を汲み取ることができるか。

 

ワシーリー・モロジャコフ氏『後藤新平と日露関係史』

21回アジア・太平洋賞 大賞受賞!

評・渡辺利夫氏  「地政学的隣人」としてのロシア/ソ連との友好に果たした後藤新平の役割を鮮やかに描いた野心作。

 

鼎 談

『デモクラシー以後』をめぐって

【政権交代と経済危機をどうみるか】

E・トッド

片山善博

御厨 貴

(通訳=荻野文隆

『帝国以後』の著者トッド氏が、最新作刊行を記念した来日を機に、

日本を代表する二人の論客と共に、現状の“危機“の本質を鋭く抉る!

 

『身体の歴史』(全3巻)邦訳、今春発刊

【インタビュー】「身体の歴史」とは何か

A・コルバン 小倉孝誠

一六世紀から現代までを一望する『身体の歴史』(全3巻)邦訳

刊行を前に、監修者の一人であるコルバンが本企画の意図を語る。

 

パムクの世界的評価を高めた『白い城』、待望の邦訳刊行

東洋でも西洋でもなく

【オルハン・パムクの世界の多元性】

F・ショーブ 宮下志朗

「東」と「西」とをいたずらに対立させることなく、物と場所とに

徹底してこだわり続けることから生まれる、パムク文学の手触り。

 

第6回「ゆいまーる・琉球の自治」(於・平安座島)報告

松島泰勝 琉球・平安座島から自治を考える

川満信一 平安座島遊び【琉球詩人の島寿ぎ】

 

女性初の歌舞伎作者であり、「女人芸術」主宰者の本格的作品集刊行

長谷川時雨と同時代人

【与謝野晶子、神崎清、谷崎精二、秋田雨雀、……

尾形明子 林芙美子らを育てた〈現代女性文学の母〉を、同時代人はどう評価したか。

 

第五回 河上肇賞 受賞作決定

(本賞)鈴木順子氏 (奨励賞)佐藤信氏/貝瀬千里氏

 

〈書物の時空〉

名著探訪

大沢文夫 『故地想う心涯なし』(中川芳子著)

高橋英夫 『日本廻国記 一宮巡歴』(川村二郎著)

針生一郎 『空と風と星の詩人 尹東柱評伝』(宋友恵著)

     『金と芸術』(H・アビング著)

安丸良夫 『社会学入門』(見田宗介著)

書  評

安川晴基 『空襲と文学』(W・G・ゼーバルト著)

歴史の深淵と文学の存在理由

黄善英 『パリデギ』(黄晳暎著)

共生への道

オドロビナク伶音 『Exquisite Pain』(S・カル著)

今、笑った?

連載 明治メディア史散策 3

粕谷一希 思いつくこと 着想の面白さ

本をめぐる対話 5

清水徹+粕谷一希 書物への愛

 

寄稿

人権、差別を常に視野から失うことなく問いつづけてきた歴史家に迫る。

上田正昭〈インタビュー〉イデオロギーで歴史を解釈するとそれは虚構になります

東アジア史全体から日本を見る眼はどう育まれたか。(聞き手=朴才暎

韓国人に親しまれていた俳句。日韓関係の知られざる一面。

許敬震(文淳嬉訳)日本植民地時代における韓国人の俳句創作

 

新連載

竹山道雄と昭和の時代 1

【時流に屈しない真の自由主義者】

平川祐弘

真の自由主義者として「時流に反する」ことも恐れなかった偉大な思想家の足跡を辿る。

 

連載

古文書から見た榎本武揚――思想と信条 4(最終回)

合田一道 死を前にした化学者

時代を超えた榎本武揚の国家観は獄中で形成された。

近代日本のアジア外交の軌跡 8

小倉和夫 日仏協商とベトナム独立運動家に対する日本政府の反応

帝国主義列強との協調の中で歪んでいった日本のアジア外交。

水の都市論――大阪からの思考 9

橋爪紳也 新地

都市の周縁に置かれた「悪所」を受け入れる、水縁の空間。

伝承学素描

能澤壽彦 神学的衝動

天皇の根拠を「神学」することが要請される現在。

 

読者の声

398/執筆者紹介

399/次号予告

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