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『環――歴史・環境・文明』

〔学芸総合誌・季刊〕 環 Vol.37
【特集】「民主主義」とは何か

商品の詳細

〔学芸総合誌・季刊〕 環 Vol.37

  • 菊大判 332ページ
    ISBN-13: 9784894346871
    刊行日: 2009/5
  • 定価: 3,456円

新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌

今、「民主主義」なる亡霊が世界を徘徊している。
「民主主義」という言葉を出すと、誰もがその内実を問うことなく、是とする、否しなければならない空気になる。それほど、現代を生きる我われ一人ひとりに、「民主主義」なる言葉は自明の言葉として植えつけられてきたのではないだろうか。
 大正期に「デモクラシー」は、「民本主義」とか「民主主義」と翻訳され、「大正デモクラシーの時代」と今日の我われに伝えられている。現在の我われにとって最も大きな意味をもつのは、「戦後民主主義」という言葉だろう。初の敗戦を経験したのだが、長いつらい戦争の時間を経て、日本の民衆は敗戦よりも解放を味わったのではないか。GHQ占領下の時代から、半強制的に「民主主義」を押しつけられ喜んで受容してきた我ら日本人。その上、連合国の中でアメリカとの単独講和を結ぶことになる。その後は、誰もが「民主主義」の有難さに酔い痴れ、“多数決の原理”が「民主主義」の法則として適用され、物事を決めるあらゆる所で“民主的に“ということになっていった。今日の、誰も責任を問われない時代の誕生および形成である。
 そもそも民主主義とは何か。民主主義は日本の中でこれまでまったく存在しなかったのか。また、考えてきた人間も居なかったのか。古来共同体の社会にあった「もやい」や「ゆい」などのその地域に住む人びとの相互扶助の集団であり生活は、民主主義とつながらないのか。また、百年先の社会や世界のありようを見通し壮大なヴィジョンを創った政治家である後藤新平が、晩年に説き起こした「自治生活」運動と民主主義はどうつながるのか、今特集の中で是非とも考えてゆきたい。
 それぞれの地域や国の風土の中で育てられてきた文化や伝統を“力の論理”で画一化してゆく時代は終った今、「民主主義」なる言葉を本特集で改めて問い直してみたいと思う。

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目次

【特集】 「民主主義」 とは何か

民主主義哀歌
高 銀 (訳=吉川凪)
〈インタビュー〉 地方分権改革と民主主義
片山善博
デモクラシー以後 【民主制から寡頭制へ】
エマニュエル・トッド (訳・解説=石崎晴己)
小さな革命、 大きな反動 【韓国1987年6月民主化抗争を振り返る】
金明仁 (訳=渡辺直紀)
〈来日特別講演〉 イスラーム世界の民主化とは?
レザー・アスラン (訳=白須英子)
【政教分離は必要条件ではない】
 
〈インタビュー〉 宗教と民主主義 
チャールズ・テイラー (聞き手・訳=森田明彦)
【 「世俗化」 概念の多元化】
 
〈インタビュー〉 ひとりから始める民主主義 【アメリカと日本】
米谷ふみ子 (聞き手=朴才暎)
なぜ私は中国民主化の憲章を支持するのか
子安宣邦
〈コラム〉 「民主」 「民本」 という言葉
一海知義
日本固有の民主主義に向けて 【自由 / 平等 / 自治】
西宮紘
民主主義とは逃げ水である
中馬清福
民本主義から民主主義へ 【茅原華山の軌跡】
岡村遼司
「より少ない悪」 に耐える
橋本五郎


〈鼎談〉 民主主義のための民主主義批判
粕谷一希+新保祐司+中本義彦
  【 「民主主義とは、 万人のための貴族主義でなければならない」 】



〈小特集〉 世界史の中の 『黒い十字架』

〈対談〉 キリスト教二千年史に照らした “日本再発見”
松原久子+川勝平太
現代世界をゆるがす 一神教原理
松原久子



● 連続座談 「自治」 とは何か Part4 自治と世間体
養老孟司+塩川正十郎+片山善博


● チャベス→ガレアーノ→オバマ
飯島みどり
  【 『収奪された大地』 というメッセージ】
 

● 特別対談 「故郷」 をめぐって
オルハン・パムク (ノーベル賞作家)
 
+サルマン・ラシュディ (ブッカー賞作家)
 
(実川元子訳)


●横井小楠生誕200周年記念講演
実学の系譜 【中江藤樹・熊沢蕃山・横井小楠】
源 了圓



● 連 載

■ 新連載 第1回 外国への視線
合田一道
古文書から見た榎本武揚 ―― 思想と信条
 

■ 金時鐘の詩 「あじさいの芽」
 
■ 石牟礼道子の句 「悲 母」
 
■ 近代日本のアジア外交の軌跡 5 「日清戦争をめぐる日中韓三国の内政と外交」
小倉和夫
■ 水の都市論 ―― 大阪からの思考 6 「都」
橋爪紳也
■ 伝承学素描 13 「大和の地霊」
能澤壽彦



● 〈書物の時空〉

■ 名著探訪
 
  『蘆 刈』 (加藤一雄 著)
大沢文夫
  『思想の運命』 (林達夫 著)
高橋英夫
  『ザ・花田清輝』
針生一郎
  『哲学論』 (鶴見俊輔 著)
安丸良夫

■ 書 評
 
  『光の曼陀羅』 (安藤礼二 著)
丹野さきら
  『萩原延壽集 1 馬場辰猪』
武藤秀太郎
  『世界の多様性』 (E・トッド 著)
三神万里子
  『 「訓読」 論』 (中村春作ほか編)
伊藤英人

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