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経済

世界の多様性
家族構造と近代性

商品の詳細

世界の多様性

  • エマニュエル・トッド
  • 荻野文隆 訳
  • A5上製 560ページ
    ISBN-13: 9784894346482
    刊行日: 2008/09
  • 定価: 4,968円

エマニュエル・トッドの主著、革命的著作!

弱冠32歳で世に問うた衝撃の書。
コミュニズム、ナチズム、リベラリズム、イスラム原理主義・・・・・・・すべては家族構造から説明し得る。「家族構成」と「社会の上部構造(政治・経済・文化)」の連関を鮮やかに示し、全く新しい世界像と歴史観を提示!


La diversite du monde

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目次

序 文

人類学的決定論と人間の自由 / 性急さと暴力性 / 二つの科学的誤謬

第三惑星 ――家族構造とイデオロギー・システム


序 章 民主主義と人類学

政治学の無力 / 社会民主主義、 イスラム、 ヒンズー、 その他 / 仮説 ――多様な家族構造 / 自由と平等 / 精神分析の貢献 / 忘れられた兄弟 / 家族の自動再生産 / 人間関係、社会関係 / ゲネプロ ――フランス革命 / トックヴィルの誤謬 / 諸国民の協同 / 一般的方法

第1章 七つの家族類型

近親相姦 / 共同体家族と近親相姦の禁止の緩和 ――内婚制 / 共同体家族と非対称的な婚姻 / 権威主義家族と近親相姦の禁止の緩和 / 核家族と近親相姦の禁止の緩和 ――アノミー型 / アフリカ ――家族集団の不安定性 / 七つの家族類型と自由 / 不平等と非対称性 / 世界地図

第2章 共同体型

自発的な解体 / ロシア女性 / ロシアの急進主義、 中国の穏健主義 / 神殺しの欲望 / 歴史の終焉 / キューバの神秘 / 自殺の人類学 / 隠れた規律 / キューバの共同体家族 / 共産主義の選挙地理学 / ニヴェルネ地方、 トスカーナ地方、 フィンランド / エミリア地方、 アレンテジョ地方、 プロヴァンス地方 / インド問題 / 女嬰児の間引き / 住みかの外での共産主義 / 家族の三行訓 / 臨界量

第3章 権威主義型

普遍の拒否 / 細分化 / 反ユダヤ主義 ――不可視な差異を求めて / 非対称性と無秩序 / 時間的な軸 / 不平等の希求 / 女性の権威 / 矛盾と緊張 / 権威と正当化 / 投票行動の硬直性 / 政党間の非対称性 / 反例 ――デンマークとオランダ / 政治的テーマ / 天上の官僚制と地上の官僚制 / 概念上の明確化 / 転向 ――カトリシズムから社会主義へ (結婚年齢) / スウェーデン、 ノルウェー、 オーストリア ――社会主義の時代 / フランス / 日本における逆転した歴史 ――社会主義から仏教へ / 性と政治 / 不安 / 母殺し / 怪物の産出

第4章 二つの個人主義

根無し草化 / 禁じられた全体主義 ――クロムウェルとロベスピエール / 労働者の反秩序 / 共産主義秩序に抗するポーランド / 経済的な無規律 / 自由に抗する平等 / フェミニズムとマチズム / 新世界 ――結婚モデルの変化 / アノミーへ向けて / 教会抜きの軍 / ラテンの普遍主義 / フランス個人主義の凋落 / スペインのフランコ主義 ――軍事独裁とカトリシズム / イタリア ――ファシズム、 カトリシズム、 コミュニズム / ヨーロッパにおける個人主義の凋落 / エチオピアとスーダン ――流行現象としてのマルクス・レーニン主義 / アングロ・サクソン世界と普遍の学習 / ソビエトとアメリカの競争

第5章 内婚制型

コーランの両義性 / 地中海の分割 / 中東以外のイスラム / 赤いイスラム / ブラック・アフリカのイスラム / 中核の均質性 / 人間関係の水平性 / イスラム女性 ――肉体の保護と社会的な否認 / 国家に抗する内婚制 / 国家機構なき社会主義 / 社会主義の定義 / 原理主義と結婚年齢 / イスラム以後

第6章 非対称型

単純な構造と複雑な構造 / インド南部の重要性 / 外婚制プラス内婚制 / 二つの人種主義家族類型 / 吸収と分離 / 輪廻の論理 / 女性主義と成長 / 草の根のコミュニズム / ケララ ――母系制とコミュニズム / セイロン ――表現し難いものへ向けて

第7章 アノミー型

近親相姦と社会構造 / 地理学 / 階級内の内婚制 / 古代の政治システムの脆弱さ / 文化的な活性力 / 政治的な両義性 ――個人主義と共同体主義 / 中立主義 / 家族の構造と人格の構造 / 仏教とアノミー / 政治におけるアモック / インドネシア ――抹殺されたコミュニストたち / カンボジア ――共産主義から大量殺戮へ

第8章 アフリカ型

一夫多妻制 / 父不在の世界? / 識字化の遅れ / 軍事政権

結 論  偶 然


世界の幼少期 ――家族構造と成長


序 章 成長への文化的アプローチ

経済主義以前の社会諸科学 ――成長のヴィジョン / 進歩の概念に無関心な経済学 / 成長の異なるリズムと諸文明


第Ⅰ部 家族構造と識字化

第1章 一つの人類学モデル

結婚年齢と識字化 / 女性の役割 / 権威主義の二つの水準 / 女性主義の三つの水準 / 組み合わせと類型 / 過去の社会学モデル / 構造的な一致と伝播 / 近年の人類学的要素の顕在化

第2章 ヨーロッパ

三つの革命 / 結婚年齢と識字率 / 中心と伝播 / フランスの識字化 / 解釈 ――家族構造 / 双系制と縦型 ――権威主義的な家族システム / 成長なき権威主義家族 ――アイルランド、 ポルトガル北部、 スペイン北部、 フランス南西部 / 権威主義家族と結婚年齢 / 統計資料の不在の原理 / 西欧の核家族 ――二つのヴァリアント / イングランドの切り札と産業革命 / 平等主義核家族 ――伝播した地域 / なぜヨーロッパなのか? / 権威主義家族と歴史の誕生 ――イスラエル / 人類学上の不動性が歴史の運動をつくる

第3章 ロシア

文化的なテイクオフ / バルト海沿岸からの伝播の波 / 国家の不在 / 共同体家族の構造 / 潜在的な母系制 / スカンジナヴィアの結婚モデル

第4章 第三世界のテイクオフ ――東アジアとアメリカのインディオ

女性の結婚年齢 / アジア / インディオ・アメリカ

第5章 2000年の第三世界 ――イスラム、 インド北部、 アフリカ

女性の地位 ――3つの極限ケース / イスラムとインド北部 / アフリカ


第Ⅱ部 近代性の諸次元 ――識字化の社会的帰結

第6章 政治的近代性

ストーンの仮説 ――識字化と革命 / 一般的な検証 ――20世紀の諸危機 / イデオロギーの時期と内容 / 来るべき歴史

第7章 人口動態上の近代性

識字化と人口動態上の移行期 / 結婚年齢と出生率 / 識字化と受胎調節、 通底する一般的一致と地域差 ――東南アジアとラテン・アメリカ / インド南部 / 国内の格差 ――インドネシア、 中国、 フランス / 宗教的要因

第8章 経済的近代性

都市化なき成長 / 2100年の経済成長地図 / 労働の集約度と人口の稠密度


結 論

経済政策と歴史の動き


  巻末附録 1 1970 ―― 1980年代における第三世界の統計データ
  巻末附録 2 1930年代におけるヨーロッパの統計データ
  原 注
  参考文献
  図表一覧
  訳者解説 「多様性と歴史性」

関連情報

■エマニュエル・トッド(Emmanuel TODD)■
1951年生。歴史人口学者・家族人類学者。フランス国立人口統計学研究所(INED)に所属。作家のポール・ニザンを祖父に持つ。L・アンリの著書を通じて歴史人口学に出会い、E・ル=ロワ=ラデュリの勧めでケンブリッジ大学に入学。家族制度研究の第一人者P・ラスレットの指導で、76年に博士論文『工業化以前のヨーロッパの7つの農民共同体』を提出。
同年、『最後の転落』で、弱冠25歳にして乳児死亡率の上昇を論拠に旧ソ連の崩壊を断言。その後の『第三惑星――家族構造とイデオロギー・システム』と『世界の幼少期――家族構造と成長』(99年に2作は『世界の多様性 』 (荻野文隆訳)として合本化)において、各地域における「家族構造」と「社会の上部構造(政治・経済・文化)」の連関を鮮やかに示す、全く新しい歴史観と世界像を提示。
新ヨーロッパ大全 』I ・II (石崎晴己・東松秀雄訳)(90年)では多様性に満ちた新しいヨーロッパ像を提示、『移民の運命 』〔同化か隔離か〕 (石崎晴巳・東松英雄訳)(94年)では家族構造が各国の移民問題に決定的な影響を与えていることを分析し、『経済幻想 』 (平野泰朗訳)(98年)では家族構造に基づく経済構造の多様性の認識から、アングロ・サクソン型個人主義的資本主義を唯一の規範とするグローバリズムを批判し、金融に過剰依存するアメリカ経済の脆弱さをいち早く指摘。
「9・11テロ」から1年後、対イラク戦争開始前の02年9月に発表された『帝国以後 』〔アメリカ・システムの崩壊〕 (石崎晴己訳)では、「米国は唯一の超大国」といった世界の一般的な対米認識に反して、「アメリカの問題は、その強さにではなく、むしろその弱さにこそある」と、アメリカの衰退、とりわけその経済力の衰退を指摘し、アフガニスタン攻撃に始まる米国の軍事行動を、自らの覇権を演劇的に世界に誇示するための「演劇的小規模軍事行動」と断定。28カ国以上で翻訳され、世界的大ベストセラーとなり、とりわけ独仏を中心とする、対イラク戦争反対の理論的支柱となった。
文明の接近 』〔「イスラームvs西洋」の虚構〕 E・トッド+Y・クルバージュ (石崎晴己訳)(07年)では、『帝国以後 』でのイスラム圏分析をさらに深化させ、出生率の下降と識字率の上昇を論拠に、「イスラム原理主義」の表層的現象ばかりに目を奪われる欧米のイスラム脅威論に反して、着実に進むイスラム圏の近代化を指摘。
デモクラシー以後 』〔協調的「保護主義」の提唱 〕(石崎晴己 訳=解説)(09年)では、サルコジ大統領誕生に体現されたフランス社会とデモクラシーの危機を分析し、「エリートが自由貿易体制に疑義を呈さないことが格差拡大、金融危機につながっている」と、需要を掘り起こし、ヨーロッパのデモクラシーを守る最後の手段として、均衡のとれた保護主義を提唱している。