2011年10月01日

『機』2011年10月号:沖縄による地方自治の推進 片山善博

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 沖縄県は、日本の地方自治を考える上で重要なテーマを提供しています。皆さん方の歓心を買うためにこう言っているわけでは決してありません。日本の地方自治の制度を考えたり変えようとするときに、沖縄の歴史と現状がとても貴重なヒントを与えてくれるということです。
 現在国が運営している地方のブロック単位の機関を地方に移管するという政策を、今の政府のもとで始めています。私が担当大臣です。地域のことは地域でちゃんと責任を持って決める方がいい仕事ができるだろうと私は確信を持っています。
 ブロック単位の機関ですから、ブロックごとに手を挙げてもらいます。九州七県と関西広域連合、いま具体的に手を挙げているのは、まだその二つです。
 沖縄からも、実は手が挙がりかかっているんです。もちろんまだ沖縄県の中できちんとその意思決定はされておりません。知事さんから話を伺っているのは、国が沖縄総合事務局でやっている仕事を県に全部移管してもらいたいという考えです。
 もしこれが実現できれば、随分地域が変わると思います。私は知事の経験からわかるんですが、国は国道をこう延長します、ここを改良しますと、勝手にとは言いませんが、ほぼ勝手に決めるんです。県は金だけ払ってねと。県としては、こちらの方を直してもらった方がいいのになと思うことがあります。
 でも国の仕事ですから、県の思いどおりにはならないんですね。県の方で全部決められるようになったら、随分地域づくりが変わってきます。自由度がすごく高まります。
 こういう国の大改革が、今の政権のもとで進んでいます。地域のことは地域に住む住民の皆さんが責任を持って判断するのが、これからの地方自治の原則です。
 実は沖縄県は地方分権が一番容易に進むんです。一つの県で一つのまとまりでしょう。もう既に、那覇に国の出先機関が集約されています。九州や関西に比べたら非常にスムーズに行きやすいわけですね。
 いま民主党政権が「地域主権改革」と言っているこの改革を実現する一つの例として、沖縄県が一番典型的なモデルになるのではないかと思います。

(後略 構成・編集部)
(二〇一一年三月五日 於・沖縄大学)
(かたやま・よしひろ/前総務大臣)