2019年05月24日

『機』2019年5月号

前号

【社主の出版随想】

▼未曾有の10連休という国が定めた休暇も終わった。この間、年号は平成から令和に変わり、新天皇が即位した。この間に、米国による、日本の頭を飛び越しての、北朝鮮や中国との熾烈な駆け引き。米現政権は、今何をやろうとしているのだろうか?   その問題についてわれわれ日本人は、今国運を賭けて討論し、行動を起こすべき時ではないだろうか。かつてサルトルが「アンガージュマン」という言葉で、知識人の行動について説いたが、今やそういう知識人は居なくなったのだろうか。


▼沖縄では県民投票後、政府は何もなかったかのように辺野古の基地作業を粛々と続けている。日本国民である沖縄県民の意思を無視して。先日、沖縄の友人から「冷たい『大和魂』の令和」というメールが届いた。沖縄も日本であることを、今こそ再確認しなければいけない時代だ。


▼あと一年余りで東京オリンピックを迎える。半世紀前の一九六四年とは、随分違う。高度成長真盛りで、東京も発展途上の時代だった。現在は、東日本大震災の傷跡は未だ癒えず、福島原発事故の傷跡は、癒えないどころかこれから拡大し続けるだろう。米海兵隊による〝トモダチ作戦〟と称された空母ロナルド・レーガンの乗組員の被害者は、死亡者を含め膨大な数に上り、今秋からいよいよ大規模な訴訟が始まる。熟知しているはずの日本の政府やメディアは、この件にどういうわけか沈黙している。水面下で動いているのか。われわれ日本の国民一人一人に突きつけられている問題は、あまりにも多くかつ深刻である。(亮)

●五月号目次●

■様々な「ネシア」からなる「日本ネシア」を、島嶼群から捉え直す!
日本ネシア論 長嶋俊介

■百か国以上踏破の経験から描く「文明誌」!
転生する文明 服部英二

■歴史学に〝民衆〟の視点を導入した初の歴史家
ミシュレはいかにして誕生したか 立川孝一

■書家・井上有一の評価を決定づけた評論家
現代美術茶話 海上雅臣

■短期集中連載・作家ラフェリエール 3(最終回)
マンゴーと仮面 立花英裕

〈新連載〉今、日本は1「不思議の国」鎌田慧

〈新連載〉沖縄からの声Ⅴ―1「語り継がれる「芭蕉布物語」」安里英子

〈リレー連載〉近代日本を作った100人62「謝花昇」伊佐眞一

〈連載〉『ル・モンド』から世界を読むⅡ―33「八〇日間フランス一周」加藤晴久

〈連載〉花満径38「独り子の歌(二)」中西進

〈連載〉生きているを見つめ、生きるを考える50「ゲノム編集を赤ちゃん誕生につなげるとは②」中村桂子

〈連載〉国宝『医心方』からみる26「枇杷」槇佐知子

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