書評・紹介

歴史人口学研究

12/17 朝日新聞(夕刊)

◆庶民を描く歴史人口学 今年度文化勲章・速水融さんに聞く

 庶民の歴史の研究は日本にもあったが、一揆や抵抗の歴史が中心だった。歴史人口学は、庶民の日常の暮らしや地域の特色、人口の推移などを描き出そうとしていた。
 ・・・最初に就職した日本常民文化研究所(東京)では、民俗学の宮本常一さんに「庶民のことをやらないと歴史はわからない」と教えられたという。それから半世紀余り。政治史とも社会史ともまったく違う視点から、速水さんは日本の近世社会を描き出した。
 今も日曜を除き毎日、研究室に通う。朝9時に家を出て、午後7時に終える。「しなくてはいけないことはたくさんある。北東北はまだ空白だし、越後・越中も史料がない。四国も空白。九州も分かったのは一部だけです」
 さらに気になるのは、西南日本を含む文化圏の広がりだという。「東シナ海をまたいで共通の文化圏があったのではないか。東アジア海文化圏、それは東のアトランティスなのではないか」
 歴史家の本能的なロマンが、かいま見えた。

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歴史人口学研究

2/7 毎日新聞 「今週の本棚」欄 【鹿島茂氏】

 日本における歴史人口学の鼻祖である著者がここに至るまでには、それこそ血の滲(にじ)むような史料との格闘の日々があったのである。
 今日ならデータをインプットすれば、あとはコンピューターが働いてくれるが、著者はコピー機もない時代にこのBDS(Basic Data Sheet)を作成したのである。なんという気の遠くなるような作業だろう! だが、五十年に及ぶ労苦はその後の歴史人口学の発展によって十分に報いられた。過去を知ることで未来を占うという歴史学本来の使命がこれほど強く納得される本はない。

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天安門事件から「08憲章」へ

書標(2月号) 「書標・書評」欄

 20年前の「天安門事件」を歴史的事実としてその名のみを記憶に留める(あるいは忘却の淵に沈めてしまった)ぼくらが、本書を手にした今、隣国の人びとに負けてはならないのは、決してGDPの数字などではない、権力に屈せず民主を求め続ける、衰えぬエネルギーなのだ。

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