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日本はアメリカとどう対峙すべきか?

学芸総合誌・季刊
 (KAN)
【歴史・環境・文明】
Vol.24


[特集]
アメリカをどう見るか
〔日本の常識・世界の非常識〕

二・二六事件とは何だったのか


2006年1月刊
菊大判 448頁 3360円
ISBN4-89434-493-9
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[特集]アメリカをどう見るか 日本の常識・世界の非常識


〈特別インタビュー〉アメリカニズム以後――「親米VS反米」の終焉
エマニュエル・トッド

〈座談会〉今、日本はアメリカにどう向き合うべきか
伊勢ア賢治+榊原英資+西部邁+小倉和夫

〈インタビュー〉
 二つの普遍主義的国民同士の衝突 〔フランスから見たアメリカ〕

A・カスピ

米仏関係
山口昌子

日本と英国 〔困難な時代における米同盟国としての類似性〕
W・ホーズリー

ドイツ・カナダからの教訓
新川敏光

「機会の平等」という夢 〔アメリカの市場主義と対抗モデル〕
宮本太郎

新ポーランドから見たアメリカ 〔「二国間関係」のみでは見えないもの〕
仙石学

アメリカは、ロシアでどう見られているか
木村汎

背を向けつつある親米国家トルコ
和久井路子

反テロ戦争体制から脱け出すには
板垣雄三

アラブ世界のアメリカ観 〔分裂感情の輻輳〕
北村文夫

アメリカ覇権の現状とその行方 〔中国の国際政治学者が見たアメリカ〕
時殷弘

中国国民のアメリカ認識の歴史的変遷
〔「天道」を行く者は私欲を持つべからず〕

王柯

中国の対米イメージ
青山瑠妙

ヴェトナムはアメリカをどう見ているか
坪井善明

TLCAN(NAFTA)の十二年はメキシコに何をもたらしたか
北條ゆかり

国際保健におけるアメリカ 〔プライマリーヘルスケアを例として〕
三砂ちづる

アルゼンチンの場合 〔二つの対米観と外交〕
松下洋

世界帝国アメリカのを問う
鄭敬謨

アメリカの背中
川満信一

「アメリカ」とアメリカ、「日本」と日本
玉野井麻利子



〈小特集〉『正伝 後藤新平』を読む
御厨貴/清水唯一朗/今津敏晃/村井良太/西川誠/千葉功/牧原出/中澤俊輔/若月剛史/佐藤健太郎/土田宏成



[特集]二・二六事件とは何だったのか
〈インタビュー〉二・二六事件とは何だったのか
御厨貴

世界は二・二六事件をどう報道したか
アメリカ/イギリス/フランス/ドイツ/ソ連/中国

同時代人が見た二・二六事件
三宅雪嶺/西田幾多郎/与謝野晶子/河上肇/緒方竹虎/河合栄治郎/三木清/昭和天皇

ゾルゲが目撃した二・二六前夜
篠田正浩

「改造」運動の中の二・二六事件
伊藤隆

今こそ創られた「神話」からの脱却を
須崎愼一

世相から見た二・二六事件
古川隆久

テロリズムと経済政策のレジーム転換
田中秀臣

もうひとつの二・二六事件
保阪正康

「戦争への道」を二・二六事件で説明するなかれ
北博昭

二・二六事件と日本陸軍の闇
中田整一

「正気」の発現
新保祐司

反乱する心情
渡辺京二



第一回 河上肇賞 受賞作決定

〈インタビュー〉 
「フランス暴動」をどう考えるか
宇野重規


《連載》

●鶴見和子の言いたい放題 その7
 「不戦」の誓い
鶴見和子


●榊原英資が世界を読み解く 第8回
 中国経済の今後
榊原英資

●反哲学的読書論 6
 朝陽門外は我が墳墓の地
【清水安三『朝陽門外』】

子安宣邦


  巻頭短歌 鶴見和子  巻末俳句 石牟礼道子


【藤原書店PR誌『機』2006年1月号より】

日米関係の国際的位置付け

小倉和夫+西部邁+榊原英資+伊勢ア賢治

日米関係の国際的位置づけ
小倉 やはり国際的な枠組みの中で日米関係を位置づけることが大事ではないかと思います。
 そもそも国連も含めて幅広い国際的な枠組みを日本としてどう構想していくのか。まずはビジョンだけでもいいですから描いて、それを支える秩序や制度はいかなるものであるべきか、それを日本がもっと明確にし、その中にアメリカにも入ってもらう。具体的に言えば、いかに日米同盟と国際連合との間に整合性をもたせるかが、やはり一番大事にならざるを得ないでしょう。ですから日米経済関係というものも、国際的な経済関係の中で考えていく。単に日米間の経済摩擦の問題とだけ捉えてはおかしいわけです。
 そういう意味で、経済問題にかぎらず、日米関係を国際的な枠組みの中で位置づけていく努力がこれから最も必要になってくると思います。

問題は「日本問題」
西部 僕は、アメリカにどう対応するかということの前に、「本当は日本問題だ」ということを再び言いたいんです。
 例えば北朝鮮をめぐる六カ国協議において日本は蚊帳の外に置かれていますね。つまり、全世界の協力の下、核武装を断固として抑圧・禁止しようとするのは、その国が明らかに侵略的な性格を持っている場合であるということですね。拉致問題だけに限られませんが、しかしこの拉致問題は北朝鮮が侵略的な国であることを思わせる十分な証拠の一つである。それゆえ拉致問題と核武装問題は、論理的につながっている。したがって六カ国の主要議題の一つとして拉致問題をすべきであると、ともかく日本がそう主張すべきであったんです。それをきちんと主張しなかったからこそ、拉致問題だけ切り離され、六カ国協議の中で、実質的に蚊帳の外で黙っているしかない。
 靖国問題にしても、小泉首相は、私的参拝だと強調する。しかしどの国から見ても、首相が行けば、公式参拝に決まっている。私的参拝ならば、戦後60年の時代観なり歴史観なり、国家観なりは何一つ改善されない。それどころか中国、韓国からはまだやっているのかということになる。あの戦争は間違いだったと言いながら、なぜ公式に参拝するのかとなり、トラブルを拡大させるだけである。
 この四年間に限っても、いくつもの外交上の失敗を演じている。それでも、小泉外交は歴史上かつてない日本国家の面汚しだという声がほとんど何一つ、どこからも上がっていない。そんな国がアメリカとつきあうかなどと言っても、そもそも本当におこがましい話ではないか。
 逆にアメリカから見た日本を考えると、安保理常任理事国問題で、アメリカはかなり巧みに日本の足を引っ張ったわけです。しかし、なぜアメリカが日本の足を引っ張ったかということすら、日本は認識できていないわけです。さすがアメリカで、日本はアメリカの子分で大概言うとおりにするが、しかし国連安保理常任理事会のような公式の舞台で日本が表立って発言することを国際社会が求めたとすれば、これまでの経緯からして、「侵略反対」とか、必ずきれいごとを言うに違いない、と彼らは考えている。
 ですから、こんな国はもう10年ぐらい深く反省して、アメリカとの交渉など考えない方がいいと思う。

多くのオプションを持つ
榊原 日本の対米関係、外交政策を考えた場合、オプションを持つことが重要になってくると思います。アメリカと同時に、中国やインドともという、そういう選択肢を、実は日本は持てるはずなんです。そこが最大の問題であって、アメリカのヘゲモニーがしばらく続くにしても、その枠の中でできるだけ多くのオプションを持てるようにしなければならない。アメリカはヘゲモニーの担い手でありながら自らの国益は徹底的に守る。これ自体をせめても意味がない。当然のことだからです。
 安保理常任理事国の話も、日本が入ることはアメリカの国益を害すると判断したということでしょう。そこに冷徹な認識があるわけで、それを日本もやはり持つべきです。そういうことを我々が理解して、できるだけオプションを広げるという地道な努力だけが大切だと思います。

国際貢献資格のない日本
伊勢 つい先月(10月)、テロ特措法が延長になりましたが、ひとつ裏話があります。
 2003年に柿沢元外務大臣がアフガンに来て、移行政権大統領のカルザイさんと会った。そのやりとりの中で大変なことがわかってしまったんです。何かと言うと、その時までカルザイさんは自衛隊のインド洋での貢献のことを知らなかった。それで外務省は慌てたわけです。僕はその当時日本大使館で武装解除を担当する班の班長をやっていたのですが、うちの班がカルザイさんのために、小泉さんに対する感謝状を英語で草稿することになった。インド洋の貢献ありがとうということで、カルザイさんにサインしてもらって東京に送ったということがありました。
 このくらい情けない状況なんです。一体、どこを向いて平和貢献しているのか。最大の恩恵者はアフガニスタンの人々と、カルザイであるはずです。しかし、だれも知らない。今回再び特措法を延長したわけですが、情けない。
 先ほど西部さんは、10年後に破綻を迎えるとおっしゃいましたが、ちょっと僕の世代が頑張らないかんなと思うんですけれども。
(おぐら・かずお/元駐フランス日本大使)
(にしべ・すすむ/批評家)
(さかきばら・えいすけ/元大蔵省財務官)
(いせざき・けんじ/元国連シエラレオーネ 派遣団国連事務総長副特別代表上級顧問)
※全文は『環』24号に掲載(構成・編集部)

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