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近代化の中で追い詰められる「性」を救い出すことは可能か?

学芸総合誌・季刊
(KAN)
【歴史・環境・文明】
Vol.12


特集:
 近代化の中の
  「ジェンダー」

2003年1月刊

菊大判 512頁 2940円
ISBN4-89434-317-7
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 特集 近代化の中の「ジェンダー」

近代化の中で女であり男であるという「性」はいかに変容したか。単一の性に向かう人類生存の危機をあらゆる側面から徹底検証する。

「ジェンダー」とは何か 
I・イリイチ=序・構成(絶筆)

「ゲヌス」と新しい身体史からみた民俗学の対象
〈鼎談〉
追い詰められてきた「性」
佐野眞一+ 三砂ちづる+山田真

〈インタビュー〉
サブシステンス・パースペクティブの可能性  【環境・女性・反グローバリズム】
M・ミース 〔聞き手=古田睦美〕

意識下のジェンダー 【イリイチから日本の原風景へ、そして未来へ】 精神的出産なのか 【女とコンピュータ労働】〔加藤耀子訳〕 
■近代化とジェンダー

都市とジェンダー 
M・ペロー〔持田明子訳〕
子供の身体と性欲 【セクシュアリティの主体化と身体化】
川村邦光
近代日本の家政の思想 
柏木博
〈ジェンダー論〉中級問題 1 
■芸能・宗教とジェンダー

性の臨界を生きる 【中世日本の宗教と芸能の境界領域から】 
阿部泰郎
稚児と芸能と天皇 
松岡心平
クグツの芸能と性のコスモロジー  
鈴鹿千代乃
富士山における女人禁制とその終焉  
宮崎ふみ子

■生命・身体・エコロジーとジェンダー

生命科学とジェンダー  
高橋さきの
病のなかの性差を究める  
天野恵子
環境ホルモンとジェンダー  
松崎早苗
ゲイ・レズビアン運動に関するいくつかの問題  
P・ブルデュー
エコロジカル・フェミニズムとは何か  
青木やよひ

〈コラム〉河野信子「第三の性から見たジェンダー」/中村修「男も不幸にする科学」



《緊急特集》
追悼  イバン・イリイチ


世界各紙の追悼記事
『ル・モンド』『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』(仏)『ガーディアン』『インディペンデント』(英)『ニューヨーク・タイムズ』(米)『ラ・スタンパ』(伊)『フランクフルター・ルントシャウ』(独)

のがれえぬ死──医療化からシステム化への流れのなかで(本邦初訳)  
I・イリイチ〔桜井直文訳〕
日本のみなさまへ──二ヶ月の滞在を終えて  
I・イリイチ〔桑田禮彰訳〕
〈対談〉希望を語る──小さな世界からのメッセージ  
I・イリイチ+石牟礼道子
「イバン・イリイチとの思い出」
青木やよひ 安里英子 宇井純 岡部佳世 勝俣誠 楠原彰 栗原彬 河野信子 坂本義和 桜井直文  里深文彦 竹内敏晴  田中克彦 中村尚司 中山茂 三砂ちづる 武者小路公秀 山田國廣 山田真 ダグラス・ラミス 渡辺京二(五十音順)



《特報》詩人 竹内浩三、新発見の遺稿全文掲載!

竹内浩三、出征を前にした叫び
〔解説=小林察〕



〈小特集〉
ピエール・ブルデューへのオマージュ

芸術社会学者としてのピエール・ブルデュー  
稲賀繁美
ピエール・ブルデューへのオマージュ  
P・シャンパーニュ
日本社会の不平等の照射  【ブルデューのもたらしたもの】  ブルデュー社会学と国際的象徴支配 【現代ギリシアにおける高等教育の構造】 
N・パナヨトプロス
ピエール・ブルデューの社会学的遺産 
山下雅之



《特別講演・寄稿》
EUの将来と日本の役割 【国際紛争に直面して】 


フィリップ・アリエスの学生だった頃 ◆新連載
 唐木順三という存在 1

  筑摩書房というドラマ
粕谷一希
◆短期新連載
 地球温暖化問題の現在 1

  温暖化に順応するしかないのか
   【ヨハネスブルクとニューデリーの「持続可能な開発」の変質】
さがら邦夫
◇連載
  鶴見和子―多田富雄 往復書簡

   鶴見和子 → 多田富雄

  第3回 『異なるものが異なるままに』

往復書簡 吉増剛造―高銀

  高銀 → 吉増剛造 

  第2回 『詩人が背負うもの』



◇リレー連載 ゾラとわたし 2

  ゾラ、紅葉、花袋 【日本近代小説への道】   
柏木隆雄

◇連載 東洋について 7(最終回)

  近代中国と日本と孔子教 【孔教国教化問題と中国認識】  
子安宣邦

◇連載 ブローデルの「精神的息子」たち 12

  ロジェ・シャルチエ 【歴史のプラティックと認識論的省察】
  
聞き手・解説 I・フランドロワ(尾河直哉=訳)

◇連載 徳富蘇峰宛書簡 12

  森 次太郎 2 【人の環の面白さ──安倍能成、夏目漱石、正岡子規】
  高野静子




鶴見和子の歌  「家門と花紋」
 
石牟礼道子の句  「水村紀行」


【書評・紹介】

  • 2/27 『朝日新聞』 「文化」欄 《私の選んだ3点》 <1> <2>
  • 2/17 『朝日新聞』 「天声人語」欄

  • 【藤原書店PR誌『機』2003年1月号より】


    ジェンダー研究のただ中で誤解されてきた「ジェンダー」概念を問い質す!

    「ゲヌス」と新しい身体史からみた民俗学の対象(抄録)

    バーバラ・ドゥーデン

    「ゲヌス」とは何か

     私たちが計画していたのは、身体史と思想史というこのふたつの側面から民俗学における(文化の担い手となっている)レアリア(生活文脈における現実物)の概念を厳密化することを提言することでした。私たちの探求は、事物における身体の反射であり、身体における事物の反射を見ようとするものです。そして、事物と身体との還帰的関係へアプローチするために私たちが手がかりとするのが、「ゲヌス」なのです。私たちが「ゲヌス」ということで理解しているのは、イバン・イリイチが一九八二年に出版された同名の本(邦訳『ジェンダー』、独訳『ゲヌス』)で言っている実存的な特殊性のことです。当時では、この「ゲヌス」ということばは英語の辞書でもドイツ語の辞書でも文法的な術語としてのみ理解されていました。それにたいして、私たちはこの「ゲヌス」を、女性と男性との間の乱対称的かつ存在構成的な相補性を言い表すためのことばとして用いたのです。「ゲヌス」に対立するものとして、近代において「ゲヌス」を壊し解体してしまった「セックスの統括」があります。一九八二年という時点で私たちが注目していたのは、どの文化にあっても、男性と女性とでは、物の捉え方や取り扱い方、あるいは作り方が異なっているという事実であり、また、そのことが文化的に重要であるという事実でした。

    イリイチの教え

     私自身、自分の研究を始めた頃には、こうした主張には怒りを感じたことを申し上げなければなりません。当時、私は、女性たちが過去の時代に部屋を暖めたり、洗濯物を洗ったり、掃除をしたり、空腹や欲望を満たしたりしてきたこと、女性たちの努力や苦労、そして彼女たちの骨折り仕事を、分業や生産、再生産や消費、あるいは役割付与といった概念をもとに研究しようとしていました。イリイチがそうした私の試みを批判したのは一九七〇年代も終わり頃でした。イリイチに言わせると、現代の社会科学が用いるこうした概念は、日常の仕事という布地から男性的皺も女性的皺も伸ばしてしまうようなアイロンのようだというのです。当時、私は激怒しました。けれども、戦いのかたちで始まったことは、まもなく共通の営みに変わっていきました。私たちは、こうした概念やその他の概念を含めて、歴史学の根本概念のキーワードについて、その有効性を再検討し始めたのです。そのことで、「分業」や「生産」そして「再生産」といった術語が、つまり分析道具としてのこうした概念がいかに具体的な行為を捉えそこなっているかということが次第に明らかになっていきました。社会科学のこうした専門用語は、女性の身体を労働力にすりかえてしまうのです。 
    (全文は『環』12号に掲載:北川東子訳)



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