『機』2011年3月号:こだわって生きる 金時鐘

前号   次号 受賞の知らせを聞いて  思いもよらない、というよりもまったくもって唐突な受賞の知らせでした。事情を呑みこめない私は聞き違えるはずのない電話の声の主、選考の結果を親しく報せてくれていた吉増剛造氏のあのおだや […]

『機』2011年3月号:「勤勉革命」による江戸時代 速水 融

前号   次号 江戸時代像の変容  江戸時代に関するイメージは、ひと昔前まで、一口で言えば暗いものだった。いわく搾取と貧困、鎖国、義理人情、そういった言葉がこの時代を表わす常套句であった。約三十年前に書いた「歴史のなかの […]

『機』2011年3月号:「水都」大阪物語 橋爪紳也

前号   次号 「水の都」の誕生  「都」は人々の憧れを喚起する。たとえばパリは、しばしば都市を語る際の雛形となる。モントリオールは「北米のパリ」、上海は「東洋のパリ」、ブエノスアイレスは「南米のパリ」、ベイルートは「中 […]

『機』2011年3月号:リオリエントを越えて 山下範久

前号   次号 リオリエント的批判のアイロニー  資本主義の起源はどこにあるのか。これは古い問いである。  この問いに対する古典的な答えは二つあった。ひとつは産業革命と結びついた「自由な賃労働」に資本主義の本質的指標を見 […]

『機』2011年3月号:革命家皇帝ヨーゼフ二世 倉田 稔

前号   次号 日本での「ブーム」  日本では一九八〇年ころからハプスブルク・ブームが起きた。  だがこれは、単なるブームではなかった。というのもハプスブルク家は、最大の帝国家であり、ほとんど神聖ローマ帝国の皇帝でありつ […]

『機』2011年3月号

目次 前号   次号 『黒船前夜』で第37回大佛次郎賞を受賞 大佛次郎賞を受賞して 渡辺京二 金時鐘四時詩集『失くした季節』、第41回高見順賞受賞! こだわって生きる 金時鐘 日本の経験と日本社会の源流を問う 「勤勉革命 […]

『機』2011年2月号:迫る鳥インフルの実態 岡田晴恵

前号   次号 新型インフルエンザの誤った認識  二〇〇九年春、鳥型ウイルスが豚に感染して、豚の中で維持されて豚型となったウイルスとの交雑が生じて発生した「新型インフルエンザ」。それほど大きな健康被害を出さずに済んだのは […]

『機』2011年2月号:わたしの詩歴 辻井 喬

前号   次号 詩は絶望から出発した  はじめ詩を書いていた。詩は絶望から出発した。学生運動に失敗し肺結核にかかり、詩と音楽に関係している二、三の友人を除いて同志は一人もいなくなった。  「十年経って生命があったら神様に […]

『機』2011年2月号:パナマ運河をめぐり、世界は踊る 山本厚子

前号   次号 運河の完成に至る各国の攻防  南北アメリカ大陸が中央に位置する世界地図を開くと、パナマ運河が世界の「ヘソ」のような存在であることが一目瞭然である。 ヨーロッパ人の南北大陸横断の「夢」  コロンブスは、一四 […]

『機』2011年2月号:「沖縄問題」とは何か

前号   次号 「海兵隊の抑止力」という虚偽説明  二〇〇九年八月末、日本でようやく本格的な政権交代が起きた。普天間基地の県外・国外移設を公約に掲げた鳩山代表率いる民主党が衆議院選挙で大勝し、沖縄の基地に関しても政策転換 […]

『機』2011年2月号:都市空間の解剖 中村良夫

前号   次号 歴史学のなかでの都市研究  社会学や心理学など他の学問領域との垣根をとりはらい諸学のフォーラムを作りながら、心性や感性など人間の暮らしのあり様の全体をその深層構造に遡って見渡す視点に立ち、総合的学知を目指 […]

『機』2011年2月号

目次 前号   次号 『強毒性新型インフルエンザの脅威』出版から四年 迫る鳥インフルの実態 岡田晴恵 詩人・辻井喬の軌跡と奇跡を辿る詩論集成 わたしの詩歴 辻井 喬 パナマ運河は、日本を含め世界の列強の“要”だった! パ […]

『機』2011年1月号:日本の居住貧困 早川和男

前号   次号 安心して暮せる住まいとは  近年の「貧困」問題の議論はもっぱら失業や多重債務などの経済面(フロー)からで、「住居」(ストック)への関心は希薄である。住むことに不安がなければ、人は生きていける。住居は生存の […]

『機』2011年1月号:ブルデューが遺した謎 加藤晴久

前号   次号 ブルデューの仕事の総括  二〇万部を超すベストセラーになったブルデューの研究チームによる労作『世界の悲惨』刊行は一九九三年。そのあたりからブルデューは自分の仕事の総括を企図したように思う。これは、彼の立場 […]