2018年09月28日

市民社会と民主主義 レギュラシオン・アプローチから

9/28 週刊読書人 【若森章考氏】

 本書の意図は、資本主義と民主主義が曲がり角にある今日、戦後日本の思想的原点である市民社会論に今一度立ちもどり、それをレギュラシオン理論と結びつけることで資本主義の民主化と民主主義の再生を展望し、二一世紀市民社会の針路となる政策理念を提起することである。
(中略)
 広範囲に渡る重要な諸論点を検討して二一世紀の制度は政治経済学の構築を目指す本書について評価するのは容易ではない。しかしながら、市民社会論を「現代化」し、そのことによって資本主義の民主化と民主意主義の再生のプログラムを提案する、という本書の目標は、かなりの程度まで達成されているように評者には思われる。一人ひとりの市民による社会認識の重要性を強調することによって、「市民からレギュラシオンを介して制作形成へ」という政策思想に基づき提起された経済政策は、資本主義の民主化と民主主義の再生を考えるうえで多くの示唆をあたえている。本書が、二一世紀の針路と社会科学の行方に関心を寄せる多くの市民に読まれることを期待したい。