2018年09月10日

処女崇拝の系譜

文藝春秋 2018年10月号 【出口治明氏】

 売春の社会史を鮮やかに描いた『娼婦』、臭覚革命を論じた『においの歴史』、我々の身体が歴史の産物であることを明らかにした『身体の歴史』、感性の歴史家、アラン・コルバンの本はどれもが刺激的だった。彼の最新作の一つが、『夢の乙女』(原題)、すなわち、本書である。なお、本書は優れたフランス文学者、山田登世子の最後の訳業となった。
(中略)
 口絵も豊富でコルバンのペダンチックな一面を楽しむにはもってこいのアンソロジーだ。