|
||||||
|
【書評・紹介】 |
|
《目次》
はしがき 1 満洲とは何か 歴史のなかの“満洲”像 中見立夫 “満洲”という地をめぐる歴史 小峰和夫 満洲における諸民族の支配 ユ・ヒョヂョン 樹状組織と網状組織の運動特性の違いについて 安冨 歩 2 満洲で日本は何をやったのか 「満洲国」 山本有造 満洲国政府の建築 西澤泰彦 日本の満洲経営と新聞 李相哲 写真に見る「満洲」イメージ 西原和海 「観光楽土」としての満洲 高 媛 植民地主義と医学 飯島渉 「満洲国」の経済遺産をどうとらえるか 松本俊郎 3 文化の先進地だった満洲 長谷川四郎における〈満洲〉への視座 和田博文 法という観念から見た満映の特異性と甘粕正彦 山口 猛 屹立する異貌の博物館 犬塚康博 写真のユートピア 飯沢耕太郎 4 満鉄の研究 後藤新平の満洲経略 西宮 紘 日本鉄道史のなかの満鉄 原田勝正 満鉄調査部と戦後日本 小林英夫 戦後中国大陸に生きた満鉄技術者たち 杉田 望 満鉄映画とは何だったのか モヤ・マリア・デ・ロス・アンヘレス 5 中国にとっての満洲 「満洲国」における思想弾圧の歳月 呂元明(田川めぐみ+朱桂栄訳) 陋室懐旧録 陳テイ(訳=孫軍悦/漢詩訳注=一海知義) 中国現代文学史上欠かせない一章 劉慧娟+徐謙(訳=孫軍悦) 「満洲国」の女性作家、を読む 岸 陽子 6 周辺地域にとっての満洲 満洲をめぐる国際関係 三輪公忠 ロシアにとっての満洲 和田春樹 ユダヤ人、白系ロシア人にとっての満洲 ヤン・ソレッキー(訳=北代美和子) モンゴルにとっての満洲 フフバートル 満洲にわたった朝鮮民族 金賛汀 朝鮮民族の分断と満洲 鶴嶋雪嶺 7 満洲に生きた人々 “実験場”にされた「満洲」の天国と地獄 富永孝子 「満洲移民」の問いかけるもの 蘭 信三 満洲へ送られた被差別部落 高橋幸春 清朝の残響 愛新覚羅顕王子(川島芳子)と慧生(えいせい) 能澤壽彦 8 私にとっての満洲 子供の眼 木崎さと子 電信柱と風と男1 別役 実 恨みと温もりの思い出 張 シン鳳 纏足のあし 羽田澄子 心奥深くの二つの文化の共生 王 音 大連と私をつなぐ運命の糸 金寿奉 |
|
【藤原書店PR誌『機』2004年7月号より】
本企画の狙い
「満洲」という言葉は、今もある年齢以上の日本人にとって忘れ難い響きをもって使われている。19世紀末から20世紀中葉にかけての約半世紀、中国東北部を日本人は「満洲」と呼んでいた。しかも、その地域は日本の植民地であった。大東亜戦争後、満洲は日本から中国に返還されたことはいうまでもない。 しかし、今、われわれ日本人にとっての満洲問題≠ヘ解決しているのだろうか。2002年には日中国交正常化30周年を迎えた。近年、日中の文化交流、経済交流も年々盛んになってきたように思う。ただ、“満洲問題”については、積極的に交流をもってゆけない何かを感じる。その何かとは何だろうか。それを発見してゆくことが、本企画の狙いである。 19世紀後半、西欧列強によるアジアへの侵略・支配の中で、日清戦争、日露戦争を経て、自らも大陸への足がかりを得た日本。中国東北部(満洲)の覇権をめぐる争奪戦。また、中国国内での権力闘争等々の中で、日本は満洲を支配した。満洲は経済的にも文化的にも、日本本土とは異なる歴史を歩んでいった。その中で、満洲を経営していった中核の一つが、調査に基づき、民衆による自治を理想とする後藤新平が初代総裁を務めた満鉄であった。しかし第一次大戦後の世界史的状況の変化とナショナリズムの高揚に伴い、満洲経営の主導権は、次第に関東軍に移り、日本は満洲国を建国し、その満洲国を基点に中国内部にさらに侵略していったのである。 日本にとって「満洲」とは何を意味したのか、又、日本は「満洲」において何をなしたのか。21世紀の幕開けを迎えた今こそ、当時の国際情勢から戦後の東アジア史までを視野に入れ、世界史の中で「満洲」という場のもった意味を問い直さなければならないと思う。 |