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ブルデューの分析手法による初の日本分析

文化の権力

反射するブルデュー

宮島喬・石井洋二郎 編
Now Printing 

 超領域の人間学を展開し、人文・社会諸学にはかりしれない影響を与え続けるブルデュー。その仕事の日本社会分析への応用と、言語・科学・芸術論などへの批判的継承を本格的に試みる日本人研究者の初の成果!

四六上製 392頁 3990円
2003年1月刊)
◇4-89434-318-5



《目次》

プロローグ 石井洋二郎

T 日本分析への展開
宮島 喬  言語資本とマイノリティ
――母語という資本をどう捉えるか 〈マイノリティと言語〉

北條英勝  社会調査における無回答から声なき人々の社会分析へ   
――世論調査の無回答に関するブルデューの分析の応用 〈社会分析〉
志水宏吉  「再生産」という眼鏡
――ブルデューと日本の教育 〈教育〉
紅野謙介 「文学場」と階級をめぐって 
〈近代日本文学〉
片岡栄美 「大衆文化社会」の文化的再生産
――階層再生産、文化再生産とジェンダー構造のリンケージ 〈階層研究〉

U 言語・科学・芸術
糟谷啓介 言語と権力
――言語的権威の承認の構造 〈言語と社会〉
金森 修 場の自律性と社会力学
〈科学論〉
稲賀繁美 美術史学への挑戦と逸脱
――あるいは学術誌編集者としてのピエール・ブルデュー〈芸術社会学〉
港 千尋 家・カメラ・戸口から差し込む光線
――ブルデューと写真 〈写真〉
石井洋二郎 速度と身体
――ブルデューへのオマージュとして漱石を読む 〈小説論〉

V 人文社会科学への反射
森山 工 ブルデューと人類学
〈人類学〉
池上俊一 物語としての歴史とブルデュー
――場の歴史と歴史の全体  〈歴史学〉
斉藤日出治 ブルデューとレギュラシオン派経済学
――ハビトゥス、レギュラシオン概念と再生産概念の刷新 〈経済学〉
大村敦志 法における構造と実践のあいだ
――「ブルデューと法」再論  〈法学〉
橋本健二 ブルデューと現代の階級・階層分析
〈階級論〉

エピローグ 宮島 喬


【藤原書店PR誌『機』2003年1月号より】

ブルデュー理論の日本分析への応用とその批判的継承

ブルデュー再発見──ブルデュー一周忌に──
宮島 喬


プラティックの理論

 二〇〇二年一月ピエール・ブルデューが逝き、しばらく時間が経ってみて、その存在の大きさをあらためて感じる。かれの知的影響は、社会学はもとより他の社会諸科学、言語学、歴史学、文学研究、芸術研究、ジェンダー研究へと驚くほど広く及んでいる。今から一五年前、「こんなフランス語をいったい日本人の誰が読むだろうか?」と私などは悲観的だった。難解あるいは晦渋とさえいわれたかれのテクストであるが、しかしシカゴ大出版会の英訳の刊行、藤原書店その他による粘り強い邦訳刊行などがあって、かれを読む人がじわじわと増えていたのだ。衝撃力のある著作ならば人はどんな迂路を経てでも読もうとするものだ、ということである。
 ブルデュー理論とはけっきょく何か。要約とはつねに危険なものであるが、とりあえず、それは不平等、序列化、支配などの関係を含みながら進む社会の生産、再生産において文化的なものの演じる役割を明らかにしようとする理論であり、行為者とその実践(プラティック)の理論を中心に含むものであるといっておきたい。そして、「ハビトゥス」、「文化資本」、「界(場)」などの基礎ターム、あるいは「学校を前にしての不平等」、「文化的好みと〈必要性への距離〉」、「構造の所産でありつつ、実践の創出原理でもあるハビトゥス」などの命題が、人々の認識・思考を刺激し、揺さぶってきた。

ブルデュー没後一周年

 ブルデューの没後一周年をめどに、日本におけるブルデューの理解、評価、その研究への影響を問う一書をまとめたいと考え、共編者の石井洋二郎氏と共に作業を進めてきた。ようやくそれが日の目をみることになり、ほっとしている。一五人の著者の寄稿を得、その分野は、社会学、教育学、言語学、人類学、歴史学、経済学、法学、文学、芸術学、科学論に及び、現在考えられる最大限の執筆者に参加してもらえたと自負している。それぞれの分野からの、ブルデューへのアプローチまたはブルデューによるアプローチを集めることができ、読ませてもらい、私も大いに勉強になった。石井氏も同じ感想であると思う。もちろんブルデューへの批判を含んだオマージュもあって、「なるほど、そういう見方もあるのか」と教えられたものも少なくない。多くの読者の方が本書を手に取り、日本人執筆者とともにブルデュー再発見を行って下さることを期待する。

(みやじま・たかし/立教大学教授)


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